巧妙化する「闇バイト」に大打撃か?警察が来年から始める「新たな取り組み」とは?
ことし国内で最も注目された事件といえば、夏以降に首都圏で連続して起きた一般住宅を狙った強盗事件だろう。関連したキーワード「トクリュウ」「ホワイト案件」も「2024年新語・流行語大賞」の候補になった(闇バイトは昨年ノミネート)。警察庁は10月、闇バイトに応募した人に対し、犯罪に加担せず、警察に相談するよう呼びかける動画を公開。それ以降、11月末までに全国で125件の連絡を受け保護した。来年早々には捜査員が架空の身分証を使った「仮装身分捜査」を導入し、闇バイトの撲滅を図る方針だ。(事件ジャーナリスト 戸田一法) ● 「高額報酬」に誘われて応募したが 現地で知らされた「仕事は強盗」 トクリュウとは「匿名・流動型犯罪グループ」の略称で、SNSを通じて離合集散を繰り返す犯罪者集団を指す。元々は特殊詐欺で見られたグループだが、昨年に表面化した「ルフィ事件」で強盗にまで闇バイトの募集が拡大していたことが明らかになった。 そしてSNSに投稿された「ホワイト案件」「高額報酬」などの文言に誘われて応募し、指示役に通信アプリで住所や氏名が入った運転免許証などの写真を送信。身バレしているため辞めようとしても「逃げても捜し出す」「家族を殺す」などと脅され、がんじがらめにされると言うわけだ。 首都圏で相次いだ強盗は、いずれも未明の時間帯に高齢者が住む住宅の窓ガラスを割って複数人で侵入し、住民を粘着テープなどで拘束して金品などを奪う荒っぽい手口が共通していた。 10月15日に横浜市で殺害された男性(当時75)は手足のほか、顔にもテープが巻かれ、死因は全身打撲による失血死。鈍器で繰り返し殴られたとみられ、複数箇所が骨折していた。同17日には千葉県市川市で女性(当時50)が拉致・監禁され、自宅にはこじ開けられた金庫やタンスの引き出し、ハンマーなどが散乱し、おびただしい血痕が残されていた。 警視庁とさいたま、千葉、神奈川の各県警は8月下旬から10月中旬に発生した14事件について合同捜査本部を設置。容疑者30人以上を逮捕したが、仕事内容を知らずに現地に行き、そこで初めて強盗だと知らされたケースもあったという。 筆者の後輩である全国紙社会部デスクは「金品を奪うのが目的なのに、過剰なほど残忍な手口が散見される。いきなり強盗を指示され、パニックになったケースもあるんじゃないか」と分析した。 ほかにも報酬を受け取るため指示された場所に向かうと、再び犯行を強制されたり、暴行を受けて監禁され現金を要求されたりする事件も発生。「複数に関与した」「嫌になった」と名乗り出た容疑者もいたという。