荒木雅博に聞く 広島の菊池涼介&矢野雅哉は「令和のアライバ」になれるか?
── 外野手3人目は近本光司選手(阪神)で、4度目の受賞です。 荒木 俊足を生かした守備範囲の広さが特徴で、前後左右とどの打球にも対応できる。投手にとっては、近本選手のところに打球が飛んだら「捕ってくれる」と安心感があると思います。 ── 外野手ですが、今年4失策で守備率リーグ最下位のドミンゴ・サンタナ選手(ヤクルト)に4票入りました。 荒木 投票するのは取材歴5年以上のキャリアを持つプロ野球記者です。なかには「この選手が?」というのもありますが、それぞれどこを評価するのか観点が違うので、票が割れるのは仕方のないことだと思っています。 ── 現役時代、荒木さんはゴールデングラブ賞(以下、GG賞)を6度受賞されています。本人のグラブをかたどった6個のトロフィーは、ご自宅に陳列してあるのですか? 荒木 自宅や実家のいろんなところに飾ってあります(笑)。 ── 荒木さんは守備だけでなく、盗塁王や通算2000安打など、走攻守三拍子揃っていました。守備にかける思いは? 荒木 打てないときも多々あるし、ホームラン一発で試合を決めるタイプではなかったので、守備を重視していました。ベテランになっても引退する日まで、守備練習に費やす時間はものすごく多かったです。 ── 落合博満監督は自らノックをして、選手を鍛え上げました。落合監督時代は8年間で27人のGG賞受賞者を輩出し、リーグ優勝4回と黄金時代を築きました。 荒木 打撃は闇雲に打ってもよくならないかもしれないですが、守備は受ければ受けただけ打球の質を体で感じるようになって、それが武器になる。守備練習で流した汗は、ウソをつかないですよ。 パ・リーグ編へつづく>> 荒木雅博(あらき・まさひろ)/1977年9月13日、熊本県生まれ。熊本工高から95年ドラフト1位で中日に入団。02年からレギュラーに定着し、落合博満監督となった04年から6年連続ゴールデングラブ賞を受賞するなど、チームの中心選手として活躍。とくに井端弘和との「アラ・イバ」コンビは中日黄金期の象徴となった。17年にプロ通算2000安打を達成し、翌18年に現役を引退した。引退後は中日のコーチとして23年まで指導し、24年から解説者として新たなスタートを切った
水道博●文 text by Suido Hiroshi