周囲に慕われる「ウッチャン」の魅力とは 駆け出しのイモトに「俺に電話しろ」、有吉へと引き継がれた金言
ウッチャンナンチャン・内村光良。誕生月である7月から、各局で「還暦スペシャル」などと冠したお祝いの企画が続いている。本日28日には伝説の番組「内P」も、還暦に絡めて復活スペシャルが放送予定だが、彼はなぜ、こんなにも周囲に慕われるのか。その魅力について考える。(ライター・鈴木旭) 【画像】30年前、テレビの企画で首相を激励しに官邸を訪れた青年時代のウッチャンの姿と、予想外の結末
どんな若手時代だった?
2024年7月に還暦を迎え、『ぴったり にちようチャップリン』(テレビ東京系)や『THE突破ファイル』(日本テレビ系)、『世界の果てまでイッテQ!』(同系)といった人気番組でスペシャル企画が打たれるなど、改めて国民的なお笑いタレントであることを証明した内村光良。 特に本日28日放送予定のテレビ朝日開局65周年記念『祝!内村光良還暦祭り 内村プロデュース復活SP!!』には、若手芸人の登竜門として伝説的だった同番組のリアルタイム世代のファンのみならず、期待が高まっている。なぜ内村は、ここまで慕われるのか。業界関係者や同業者の声を中心に、表で見せる顔とは違った魅力に迫ってみたい。 まず注目したいのが、若手時代からブレない軸があることだ。1990年に『とんねるずのみなさんのおかげです』(フジテレビ系)が半年間休止になったことに伴い、後続番組のメインとしてウッチャンナンチャンに白羽の矢が立ち、『ウッチャンナンチャンの誰かがやらねば!』がスタートしている。 しかし、番組が始まる前の飲みの席で、番組スタッフから「生放送をやる」と言われ、内村は「話が違う」と席を立ったという。作り込んだものをやると聞かされていた話が急きょ覆ったためだ。その場に居合わせた当時のプロデューサー(現・ワタナベエンターテインメント会長)・吉田正樹氏は、『QuickJapan vol.88』(太田出版)の中でこう語っている。 「内村は“作り込みノイローゼ”なんだよね。『誰やら』の話をもっていった時、『生放送だったらやめる!』ってその場で立ち上がったわけ。話を聞いたら生でグズグズになったり、クオリティが下がるのが嫌だから作りこみたいと。その時ナンチャンは、『別にそれでいいじゃん』って顔してた(笑)。ところがそこに至る過程においては、ウッチャンのほうが豪胆なんですよ」 後日、冷静になって最終的には「わかりました」と受け入れた内村。こうなると、目の前の仕事にまっしぐらだ。『内村プロデュース』など数々のヒット番組を手がけてきた制作会社・ケイマックスの工藤浩之氏は『チームが自ずと動き出す 内村光良リーダー論』(畑中翔太著/朝日新書)の中で、「頑固だから、元々が」と笑いながらこう続ける。 「その頑固さはすごいですよ、昔から。1回、ノーって言ったら、もう絶対どうやってもなかなかひっくり返らない。こちらが“ああ、もう無理だね”ってあきらめる。その代わり、イエスになったら、もうとことんやる。絶対にやり遂げる」 腑に落ちなければ断固拒否するが、一度受け入れたならば全力で向き合う。それは個人的なこだわりというよりも、番組の看板を背負う責任感からくる姿勢なのかもしれない。