周囲に慕われる「ウッチャン」の魅力とは 駆け出しのイモトに「俺に電話しろ」、有吉へと引き継がれた金言
明太子スパ大盛りを片隅で
長らく番組MCとして活躍していることから、内村に対して「頼りになる、安心感があるリーダー」というイメージを持つ視聴者は多いのではないだろうか。 ただ、内村の場合はグイグイと共演者を統率するタイプというよりも、等身大の自分を見せることによって自然と人を引き寄せるリーダーのようだ。 例えば2014年に放送されたNHKの『LIFE!』で、内村演じる売れない歌手・竹脇みつるが長野県・小川村を訪れ、村おこしの歌謡ショーを開催する企画での一幕。竹脇は、30年前のヒット曲「恋のチムニー」に固執し、ロックやラップなどアレンジを変えて歌い続ける哀愁のあるコント内のキャラクターで、それを複雑な心境で見守るマネージャー・野田とのやり取りが好評を博した。 しかし、会場の観客は竹脇というキャラクターをほぼ誰も知らない。そのアウェーな状況に、本番前の内村は恐怖と緊張でえずきが止まらなかったという。前述の『内村光良リーダー論』の中で、野田役を演じたドランクドラゴン・塚地武雅は当時をこう述懐している。 「内村さんはちゃんと緊張するんです。あんまり言うと営業妨害になるかな、というくらい緊張する。けれど歌いだした途端、会場を一瞬で味方につけて、歌い終わりは拍手喝采。あれだけえずいてた人が、ようやりきったなと。舞台袖で内村さんを見守るマネージャー役だったんですが、本当に涙が止まらなくなって。この人はすごい、と心から感動しました」 同書の中では、“隙のある人柄”に関するエピソードも紹介されている。『ボクたちの交換日記』(ショウゲート)でプロデューサーを務めた青木裕子氏は、同映画の監督として携わった内村の意外な姿を目撃したという。 「編集、ダビングの時だったかな。東宝の古い方のスタジオに行ったら、コンビニの明太子スパゲッティ大盛りを食べているおじさんがいたんですよね。一人で端っこの方で。……それが内村さんだったんですよね(笑)。映画監督で、テレビ・舞台と多方面で活躍されている方が、“俺、これ大好きなんだよね”って、明太子スパゲッティを隅っこで美味しそうに食べてる」 前述の『QuickJapan vol.88』で出川哲朗が語るところによると、日本映画学校(現・日本映画大学)の昼食時間に内村が「オレお金ないからいい。走ってる」と教室の中をグルグルと走り始めたため、心配した女子生徒が翌日内村用にお弁当を作ってきたこともあったそうだ。「この人の力になりたい」と周囲に思わせる力は、生まれ持った才能なのかもしれない。