周囲に慕われる「ウッチャン」の魅力とは 駆け出しのイモトに「俺に電話しろ」、有吉へと引き継がれた金言
志村の金言「コントを…」
内村と言えば、コント番組を継続する数少ないベテラン芸人としても知られている。 1990年前後の『笑いの殿堂』(フジテレビ)、『夢で逢えたら』(同系)、前述の『誰やら』やドキュメントバラエティー『ウッチャンナンチャンのウリナリ!!』(日本テレビ系/1996年~2002年レギュラー放送終了)でも、途中で内村が「どうしてもやらせてくれ」と懇願し、キャラクターコントのライブを始めた。 周りを見渡しても、1990年代後半はコント番組が減少の一途をたどっていた“コント氷河期”。そんな中で始まったのが、『笑う犬』シリーズ(フジテレビ系/1998年~2003年レギュラー放送終了)だった。内村の従兄であり、放送作家の内村宏之氏は著書『ひねり出す力 “たぶん”役立つサラリーマンLIFE!術』(集英社クリエイティブ)の中で、そのときの模様をこう記している。 「最初の打ち合わせでは、テレビマンの発想として、当時の状況を踏まえると、まずトークコーナーがベースにあって、トークで盛り上がった話題をコントにしてみる、という構成にするつもりでした。しかし、内村光良の、『あくまでもコントだけで番組を作りたい』という強い意志に押され、純粋なコント番組で行くことになりました。結果から言うと、彼のコントへの情熱が、あらゆるものを凌駕したわけです」 午後11時台で始まった番組は、ジワジワと人気を獲得。スタートして3カ月で視聴率15%を超え、1年後には相方の南原清隆を入れてゴールデン帯へと昇格した。 スタジオコントは、台本を練ってセットを組み、リハーサルを経て本番を迎え、終われば基本的にセットは取り壊される。つまり、演者にとっても制作側にとってもコスパが悪い。それでも、内村は今もなお『LIFE!~人生に捧げるコント~』(NHK総合)でスタジオコントを作り続けている。 もともと素で表舞台に立つのが苦手ということもあるのだろうが、意識的にコントを続けようと考えたのはコメディアン・志村けんの後押しも大きいだろう。2000年12月31日放送の『FNS年末スペシャル フジテレビにしか出来ない20世紀の黄金バラエティ大全集!』(フジテレビ系)で共演した2人はこんなやり取りをしている。 局の楽屋と思しき場所に鎮座する、大嵐浩太郎(内村)と変なおじさん(志村)。「素が苦手でございます」「上がり症なもんで」などとお互いにはにかみ笑いを浮かべながら、内村が「もう5、6年前になりますが、志村さんと一度飲みに行った(筆者注:厳密には「同じ店で偶然会った」)ことがある」「あのとき志村さんにかけられた言葉をずーっと胸にして『笑う犬』を立ち上げたようなもんなんです」と切り出す。 これに志村が「毎日飲んでるから」と覚えていない素振りを見せてひと笑いあった後、「あのとき、『あなたはコントで出てきたんだから、コントを続けなさい』と」「それを私はずーっと胸に抱いて、そして『笑う犬』を立ち上げていった」と打ち明ける内村。程なく志村が他人事のように「えらい!」と返して笑わせると、「あんたが言ったの、あんたが!」と照れくさそうにツッコむ内村が印象的だった。