<春に挑む・’23センバツ・大分商>支える人編/下 マネジャーの志 夢舞台に感謝、元気送る /大分
平日の練習が始まる午後4時前。マネジャーがグラウンド脇のベンチに炊飯器4台を並べた。「次の人、どんどんもらって!」。選手は列を作り、約1合のご飯入りのどんぶりを受け取ると、ふりかけなどをかけてかき込んだ。マネジャーは選手が食べ終えると器を洗い、他の作業を始めた。 野球部には2年生5人、1年生2人のマネジャーがいる。平日は、選手が練習前に食べるご飯を、昼休みに仕掛ける。10合炊きの炊飯器を4台使い、1日40合炊く。冬は冷たい水で指先を真っ赤にして米をとぎ、選手が使う器も洗う。 練習中には、スポーツドリンクを作り、打撃練習用ネットの補修、ボールの片付けなどもする。グラウンドの移動はいつも全力疾走。練習が終わる夜7~8時ごろ、帰宅する。 木村莉湖さん(2年)は、自宅が大分商の近くで、小学校の頃からグラウンドでプレーする選手に憧れてマネジャーになった。「選手と同じ雰囲気を味わいながらベンチでスコアを付けるのが一番好き」と言う。 姫島村出身の寺下沙帆さん(同)は、三つ上の兄が大分商野球部の投手。「兄が高2年の時に出場した夏の県大会開会式で大分商のマネジャーが大会のアナウンスをする姿に憧れて進学を決めた」と振り返った。 センバツには木村さんや寺下さんら2年生5人が選手と一緒に行く。平川葵さん(同)は「メンバーと一緒に行けることに感謝し、自分にできることを全力でやりたい」。原田小晴さん(同)は「全力疾走して、選手に負けない元気を出したい」と話した。 センバツのベンチに入りスコアを付ける高倉里穂さん(同)は「選手たちは有言実行し、甲子園に連れて行ってくれた。試合を見るのが楽しみ」とほほ笑んだ。大道蓮(れん)主将(同)は「全力疾走でチームの雰囲気作りに協力してくれ、感謝の気持ちでいっぱい。試合に勝って恩返ししたい」と力を込めた。【神山恵】