「コロッケ」がものまね四天王時代にもカン違いしなかった理由 芸能生活45周年を支えた母親直伝の「5文字の言葉」
ものまねタレントのコロッケ(64)が、2025年でデビュー45周年を迎える。常に第一線で活躍、日本中に笑いを届けてきた。節目を迎えた今年も予定はビッシリ。やりたいことも沢山あるという。そんな多忙なコロッケを支える「ある言葉」があるという。45年間、片時も忘れなかったという、その言葉とは何か? (全3回の第3回) 【写真】お正月にピッタリ! ご存じコロッケの“七変化”!!
「あ・お・い・く・ま」
〈僕には母と姉がいる。物心ついたときから、父親はいない。母子家庭である。当然、生活は楽ではなかった。おかずが三食、もやしだったことがある。そのうち、もやしも出なくなって、ごはんだけになり、やがてごはんもなくなり、米のかわりにあられが食卓に出たこともある。そんなとき、母は、 「今日のごはんは、あられたい!」 と明るく言い、僕と姉も喜んで食べた。貧乏だなぁ……とか、惨めだなぁ……と思ったことはない〉(コロッケ著『母さんの「あおいくま」』新潮文庫より) いまも熊本で健在のコロッケの母は、どんなに生活が苦しくても、必ずコロッケたち子どもを風呂に入れていたという。たとえ着ている服がボロボロでも、清潔にしていれば大丈夫という考えからだった。知恵もあり考え方も独特な母が、柱に書いて貼った言葉があった。 「あせるな」 「おこるな」 「いばるな」 「くさるな」 「まけるな」 それぞれの頭文字を取って「あおいくま」。 〈母はいつも言っていた。 「人生は、五つのこの言葉たい」 自分が不甲斐なく思えるとき、理不尽に威張る大人に出会ったとき、ことあるごとに思い出してきたこの言葉。でも、この言葉の本当の意味、母の思いを知ったのは、故郷と母のもとを離れ、長い年月が経ってからのことだった〉(前掲書より) 「僕の芸能生活45周年は、あおいくま、それしかないです。デビューから今まで、様々なことを交通整理できたのも、この言葉のおかげ。四天王時代に人気者になった時、調子にのらずに自分の道を進めたのも、この言葉のおかげです。あの時、もしカン違いしていたら、僕は今頃、とんでもなくイヤな奴になっていたと思います」 特に「まけるな」。これはてっきり、ライバルに「負けるな」の意味かと思っていたが、そうではなかったという。それは、フジテレビの「ものまね王座決定戦」で87年、悲願の優勝を遂げた時のことだった。 〈でも収録を終え、楽屋に帰ってきたとき、すでに喜びはどこかへ消え去り、代わりに虚無感に包まれている自分に気づいた。胸の中にポッカリと大きな穴が空いていた。(略)僕は戸惑った。そして、気づいた。自分は「目標を失ってしまった」のだと。この二年、来る日も来る日も優勝だけを目指して頑張ってきた。明日から何を目標に頑張ればいいんだろう? (略)そんなとき、また頭に浮かんだのがあの言葉だった。 「あせるな、おこるな、いばるな、くさるな、まけるな」 とりわけ、心に響いたのが「まけるな」だった。そうか! この言葉は人に対して「負けるな」と言っているのではない。自分に対して「負けるな」と言っていたのだと、初めて気がついた〉(同)