史上2チーム目の売上100億越えを達成した 浦和レッズ 。ビッグクラブを支えるのはサポーターに寄り添うマーケティング
キーゲーム、そしてゴーゴーレッズデー
浦和レッズは、他のJリーグクラブと比べて無料の招待チケットを使った集客が極端に少なく、集客の大半を有料の入場で賄えているという事実がある。背景にあるのは、新規来場者の獲得とシーズンチケット購入者の増加だ。 同クラブでは、複数の部門を横くしで通した「プロモーションミーティング」という会議体を運用し、「キーゲーム」と呼ぶ収益を拡大化するうえでの重要なホームゲームを早期に確定させ、そこにマーケティング視点でのコストとリソースを集中投下しているという。このキーゲームは、たとえば強豪同士の試合など、サッカー文脈を考えた試合ではなく、新規来場者がスタジアムに来やすい時期の試合、たとえば、夏休みやゴールデンウイークなどの期間に行われる試合を指すという。 「ファミリー層の方々に来場いただきやすい時期のホームゲームなどをキーゲームに設定して施策を練っている。そのため、ファミリー層が外出先を検討するうえで情報収集するであろう動線上に、広告やキャンペーンを展開している」と星野氏は話し、「デジタル広告やOOH、マイクロインフルエンサーなどを使っているが、奇をてらったことは一切していない。基本的なマーケティング施策を忠実に行っているだけ」と続ける。 「キーゲーム」のなかでも特に、新規の来場者、あるいは将来のサポーターを獲得するためにもっとも注力しているのが、「ゴーゴーレッズデー」という小中高生を対象とした指定席特別料金デーだ。選手が間近に見られる席も、スタジアム全体が見やすい席も一律550円で観戦できる年1回のスペシャルデーとなっており、当日には、オフィシャルパートナーとコラボした体験型のイベントや子ども専用ファンショップ、加えて「レッズ サッカー ワンダーランド」と名付けたサッカーにまつわるレクレーションやコンサートなどの催しも開かれる。 「外出先としてさまざまな選択肢があるなかで、サッカー観戦ができることはもちろん、そのほかにも楽しいイベントが溢れる一日であることを提案している」と星野氏は語る。