外では「良いパパ」とほめられるのに…発達障害がある人が自宅では「まるで別人」になる深いワケ
「あの人」の特徴(3)…ゼロか100か、敵か味方か
これはASD傾向の「あの人」に多いのかな、と私は思っているのですが、考え方が極端になりやすいみたいです。たとえば私の夫のアキラさんも、嫌いな上司のことは徹底的に嫌っていて、そのせいで会社を辞めてしまったこともあります。敵でも味方でもない「中間」というふうには捉えられないようなのです。 加えて、「敵だった人が味方にランクアップする」ということもなかったようです。だからうまく距離をとったり、「上司のことはキライだけど、ここだけは見習おう・この助言は参考にしよう」みたいな、部分的な妥協も難しいようでした。 一方で、いったん味方だと認識された人には、「あの人」は徹底して好意的です。言うことは何でも受け入れようとするし、味方の人に褒めてもらいたい、あるいは笑顔が見たい一心で行動するようにさえなります。 この考え方だと、生きていくなかで他者と衝突する機会が多くなるのは、容易にわかると思います。たとえば、アキラさんにとっての私がそうでしたが、「あの人」のことを心底かんがえて、親切心から意見してくれる人は「敵」認定されやすくなります。そうなると、どんなに支えて助けてあげても、もう「味方」としては認めてもらえません。「あの人」の身近にいる人物ほど、そういう恵まれない立場に陥りやすいのす。 その一方、世の中には「味方」のふりをして人を欺くのがうまい「ズルい人」もいます。そんなズルい人を、他者の気持ちを見抜くのが苦手な「あの人」がウッカリ「味方」認定してしまったら、どうなるか。都合よく利用されてしまうかもしれません。利用されていることに第三者が気づいて止めても、止めたことに腹を立てた「あの人」がその第三者を「敵」認定してしまったら、抜け出すのは本当に難しくなってしまいます。 では、「敵」認定された側は、もう「あの人」には働きかけられないのかというと、そんなことはありません。ズルい人とは別の、ちゃんとした「味方」を探して、その味方を介して伝えたいメッセージを送ると、受け入れてくれることもあります。 間に立ってくれる味方としては、「あの人」が尊敬している人や、「あの人」が頭が上がらない人などが適しています。また、男性の「あの人」にとって、実母は最も信頼できる絶対的な味方であることが多いようです。人それぞれ環境が異なるので、一概にそうだとは言い切れないのですが、実の家族に間に入ってもらえたらいいかもしれません。