前橋育英を追い詰めた愛工大名電の「明るく前向き」な選手権、悔いなきエンディング
「出し切った結果」
最後は名門の意地に屈する形となった愛工大名電だが、「すがすがしい気持ちもある」と語ったのは、GKの水谷準乃右だ。 「最初は泣いている選手も多かったんですけど、最後はみんなで笑顔になっていました」 水谷の真っ赤な目はその「泣いている選手」の一人だったことを示唆していたが、報道陣の前に現れたときは笑顔も浮かべ、「出し切った」と言い切れるまでになっていた。 「実力でいったら勝つほうが難しい相手。それにあの状況から追い付けたのは自分たちが持っている以上のものを出したからなので。変な負け方をしたわけじゃなく、自分たちが出し切った結果」(水谷) 蒲地陽は最後に「前橋育英が優勝したときのインタビューで『一番苦しかったのは愛工大名電』と言ってくれると思います」と冗談も飛ばしつつ、「今日はSNSを観るのが楽しみです」と笑顔でスタジアムを後にした。 愛工大名電のモットーは「明るく前向き」であること。戦いぶりも去り際も、まさにそんな言葉を体現したものだった。 「僕は全然後悔してないです」
川端暁彦