ひろゆき、中野信子と脳を科学する⑨ どうすれば幸せになれるのか? 脳科学的に教えて!【この件について】
ひろゆきがゲストとディープ討論する『週刊プレイボーイ』の連載「この件について」。脳科学者の中野信子さんをゲストに迎えた9回目です。 「人間は幸せになるように進化していない。不安を抱えることで環境に適応してきた」と語る中野信子 生きてる限り、やっぱり幸せになりたいですよね。そこでどうすれば幸せになれるかを中野さんに聞いてみたところ、思いがけない答えが出てきました。そして、生き残るために必要なことも......。 *** ひろゆき(以下、ひろ) 今回のお題は「どうすれば幸せになれるか」です。悩んでいる読者さんはけっこういると聞いてます。 中野信子(以下、中野) 幸せの定義って本当に難しいですよね。例えば「世界幸福度ランキング」の上位9ヵ国のうち7ヵ国が「世界の抗うつ剤最多消費国ランキング」にも入っているんですよ。で、ランクインしていないのはオランダとスイスだけです。 ひろ あ、安楽死や自殺幇助が認められている国ですね。 中野 そうです。それに大麻も規制緩和されています。つまり、抗うつ剤以外の代替手段があるということになりますね。 ひろ 結局、抗うつ剤、安楽死、大麻のどれかが選択肢としてあれば、人の幸福度は上がるということなんですかね。 中野 そういう話になってしまうかもしれません。 ひろ ただ、幸福度ランキングって「不幸な人を減らす」ことで順位が上がりますよね。つまり、統計上の結果に過ぎない。 中野 おっしゃるとおりです。そもそも幸せをランキングで測るのはとても危険です。絶対的な「幸せな状態」は存在せず、差分でしか測れません。そして、多くの人は他人のSNSのキラキラした部分を見すぎて、不幸を感じる人が増えているんです。 ひろ 冷静に考えると、そのSNSだって切り抜きなんですけどね。フェスやナイトプールに行くために必死にバイトしている姿なんて載せないわけですから。 中野 本当は、今よりも未来の自分が良くなっているかどうかなんです。でも、そういう希望を持てない人が多い。だから、幸せを感じるのは難しいんです。 ひろ 「世界一幸せな国」といわれていたブータンの例がわかりやすいですよね。禁止されていたテレビやインターネットが解禁されたことで幸福度が下がったといわれています。 中野 情報を制御したほうが、人は幸せになりやすいんだと思います。でも、幸せであることが生物としての生存確率を上げるわけではありません。むしろ、不安や危機感を抱くほうが生存戦略的に有利なこともある。 ひろ 確かに。厳しい環境にある地域のほうが文明は発達しやすいですよね。 中野 つまり、人間はそもそも幸せになるようには進化していないんです。不安や不満を抱えることで、天敵や環境変化に適応してきた。だから、幸せを求めるのはある意味、虫がいい話なんです。