いまさら聞けない「水素自動車」って何? メリット/デメリット、課題とは 普及は実現可能か
水素自動車とは何なのか
ここ数年のバッテリーEVの台頭により、水素自動車は市場の片隅に追いやられている。 比較的最近まで、英国では2台の水素モデルが新車として販売されていた。水素燃料電池車は徐々に台頭してきており、将来的には、一部の用途で現実的な選択肢となる可能性がある。 【写真】ホンダから新たな水素燃料電池車が登場!【ホンダCR-V e:FCEVを写真で見る】 (34枚) しかし、水素自動車とは実際にどのようなもので、ガソリン車、ディーゼル車、EVと比べてどのような位置づけにあるのだろうか? 今回は水素自動車の長所と短所、そして将来の展望を含め、水素自動車について知っておきたいことをまとめた。
水素燃料電池車(FCEV)について
■水素燃料電池車とは何か? 水素自動車、または水素燃料電池車(しばしばFCEV、FCVなどと略される)は、水素で走るクルマだ。700気圧のタンクに貯蔵された水素から電気を生成し、小型バッテリーに蓄え、その電気の力で車輪を動かす。 多くの人々が水素を「未来の燃料」として宣伝しているが、実は水素自動車は何十年も前から存在していた。メルセデス・ベンツは1998年、初の公道走行可能なFCEV として、AクラスをベースにしたNecarを開発した。 ■水素燃料電池車の仕組み 燃料電池スタックを使って酸素と水素を反応させて発電し、そのエネルギーを電気モーターに送る。つまり、EVと同じように走ることができる。 マフラーから有害なガスを出さないため、少なくともドライバーの視点からは、ガソリン車やディーゼル車よりもはるかにクリーンな乗り物と言える。
■水素はどうやって補給するのか? 水素自動車は、水素ステーションで水素を充填することができる。水素ステーションは、通常のガソリン車やディーゼル車の給油所とよく似ている。 水素の充填は簡単で、フューエル・フィラー・キャップ(給油口)を開けてノズルを差し込むだけだ。通常、満タンにするには5分ほどかかる。 最も難しいのは、水素ステーションを見つけることだ。英国を例に挙げると、一般のドライバーが利用できる水素ステーションは英国内にわずか6か所しかない(UK H2 Mobility調べ)。 今後、英国では政府支援も得て水素ステーションが徐々に増えていく見込みだ。新興企業のエレメント2は、2024年内に4か所のステーションをオープンし、さらなるポンプ増設を目指している。 ■水素自動車の最新の情勢は? 水素自動車の世界ではさまざまなことが起きており、現在は韓国のヒョンデがペースを握っている。 同社は最近、ネッソFCEVの後継車を予告するイニシウム(Initium)というコンセプトカーを公開した。現行型ネッソより強力な最高出力204psの電気モーターを1基搭載し、航続距離650kmを目標としている。 イニシウム・コンセプトは、来年夏までに量産モデルが発表される予定だ。しかし、ネッソの販売に苦戦している(英国では5年間で合計50台程度)ことを考えると、どれだけの市場に導入されるかは不明だ。