<御嶽山噴火>噴火の種類と察知が難しい「水蒸気噴火」とは
長野県と岐阜県にまたがる御嶽山(おんたけさん、標高3067メートル)が27日午前11時53分ごろに突然噴火し、大勢の登山客が災害に巻き込まれた。“要警戒”の火山として気象庁などの国の機関や大学、地元県などが24時間体制で監視しているのにもかかわらず、事前に噴火を察知できなかったのはなぜか? そこには噴火形態の違いが大きく関係している。 <写真特集>御嶽山噴火・自衛隊による救出
3つある噴火の種類
一口に「火山噴火」と言っても、火山専門家によると、その形態は大きく次の3種類に分けられる。基本的に噴火活動は、地下深くのマグマの動き(地表へと上昇してくるのか、たまり続けるのか)によって引き起こされる。噴火の形態とは地表面での現れ方の違いだ。 (1)水蒸気噴火: 地下水がマグマによって熱せられて水蒸気となり、封じ込まれていた圧力の限度を超えたために、一気に地表に噴き出すものだ。その時の火山灰にはマグマ片は含まれず、水蒸気の量が多いために噴煙の色は白っぽい。 (2)マグマ水蒸気噴火: 上昇してきたマグマが地下水と接触して発生した水蒸気とともに地表面で噴出するもので、火山灰にマグマ片も含まれ、噴煙の色も黒っぽい。 (3)マグマ噴火: マグマ自体が噴出するもの。地表面に出たものが「溶岩」。最近の例では、2013年11月に噴火し、現在も溶岩の流出、拡大が続く小笠原諸島・西ノ島がそれだ。 今回の御嶽山の場合は今のところ(1)の「水蒸気噴火」と考えられているが、この現象だけを事前に察知するのは「難しい」のが実情だという。他の「マグマ水蒸気噴火」と「マグマ噴火」ではマグマの上昇に伴って、山体の膨張や傾斜変化、山体直下での地震やマグマの移動を示す火山性微動などがみられる場合があるが、「水蒸気噴火」の場合はそうとは限らないからだ。
マグマは直接関与したのか?
気象庁によると、御嶽山では今回と同様に比較的大きな水蒸気爆発は1979年10月、小さなものは1991年5月と2007年1~3月に起きているが、事前に地震の多発を観測した場合もあれば、この間、火山性微動や山体膨張を観測しても噴火に至らなかったケースもある。