父が「昔はボーナスの額面と手取りが同じだった」と言っています。私は今年「額面50万円」から10万円ほど引かれていたのですが、本当にそんな時代があったのですか? そのまま受け取れたらかなり助かります…
ボーナスから社会保険料が引かれるようになったのは約20年前
しかし、「給与には社会保険料がかかって、ボーナスにはかからない」となると、給与を少なくしてボーナスを多くする会社が出てきます。その方が会社も従業員も社会保険料の負担が少なくて済むからです。 特に会社については、従業員の社会保険料を支払うことに直接的なメリットはありません。可能であれば年収すべてをボーナスで出したいと考えるほどだったのではないでしょうか。 これでは明らかに社会保険料負担の不公平が起こります。そういった背景もあってか、2003年4月から現在のようにボーナスからも社会保険料が引かれるようになったのです。 ■実は昔も0.5%だけ社会保険料が引かれていた ボーナスに対する社会保険料の天引き計算が、現在と同様の仕組みになったのは2003年度からですが、実は1994年度からすでに「特別保険料」という名目の社会保険料は天引きされていました。 ただ、今では考えられないわずか1%の料率であり、ボーナス50万円から天引きされる特別保険料は2500円(労使折半のため0.5%)でした。
まとめ
2003年3月までは「ボーナスの額面と手取りはほぼ同じ」でした。会社によって計算方法が異なるわけではなく、単に国の法律が、「ボーナスに社会保険料はかからない」という違いがあったためです。現在の20代・30代の人にとっては夢のような話に感じられるかと思いますが、20年前の話です。40代以上の人は経験があるでしょう。 少子高齢化による社会保障費の増大が問題となっている現代、今後は社会保険料が増加しても、減少することは考えにくいでしょう。「ボーナスの額面がほぼ手取りだったなんてうらやましい」と感じる人も多いかと思います。 ただ、支払った厚生年金については将来自分の年金受給額に反映されますし、せっかくもらったボーナスなので、よく検討して大切に使いたいですね。 出典 国税庁 賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(令和6年分) 執筆者:佐々木咲 2級FP技能士
ファイナンシャルフィールド編集部