眠っているとき以外すべてオン。梅田 蔦屋書店の店長 兼 ひとり出版社代表・北田博充さんの仕事術
自分のために仕事をしないことが大事
──自分なりのストレス解消法はありますか? 仕事で成功することが、なによりもストレス解消となっています。 立ち上げた企画がうまくいったときは、報われた気分になり、重圧から解放された気持ちでいっぱいになります。それを味わいたくて、日々苦労しているという感じですね。 ──自分の価値を上げるため、どのような考えや取り組みをされていますか? 直接的な答えになっていないかもしれませんが、「自分のために仕事をしないこと」が、大事だと考えています。 世の中には、完全に1人でできる仕事は、ほとんどないはず。なので、いい仕事をしようと思ったら、周囲を巻き込まないといけません。 それで、巻き込む相手に、自分事のように熱量高く取り組んでもらうためには、どうすればいいかを、すごく考えます。メンバー全員が熱意を持って主体的に動いてくれると、プロジェクトは成功しやすくなりますので。 そして、何か企画を立ち上げる際は、主人公と脇役を設定する考え方が、すごく嫌いです。全員が主人公となれる企画を作りたいのです。 その1例が、2020年に開催した「二子玉川 本屋博」です。これは40の書店が参加され、音楽ライブなどのイベントもあった、2日間の本屋のフェスです。実行委員のメンバーやご出店いただいた書店を含め、全員が主役だと思っていて、彼らもその気持ちで取り組んでくれたと思います。そのおかげで、来場者が3万3000人、1万冊も本が売れたという成果をもたらしました。 こうした考えで仕事をすれば、結果として自分の価値が上がると思います。
膨大な読書が少しずつ血肉になる
──年間100冊しか読めないとおっしゃっても、世間的に見ればかなりの読書家です。そのなかで、自分の人生にダイレクトに影響を与えた本はありますか? そうした質問はよく受けるのですが、そのたびに答えに窮するというのが正直なところです。 この1冊で人生が変わった、というのはなくて、これまで読んできたたくさんの本が、それぞれ少しずつ自分に影響を与えているのだと思います。 仕事の現場で、AとBのどちらかを決断しなくてはいけない場面があったとします。Bを選んだとすると、その決め手が10年前、20年前に読んだ本が影響していたということがあります。そこが本の価値だと思いますし、しばしばそうした影響があることを感じます。 影響とは別に、格別に思い入れのある本は、自分がひとり出版社の編集者として関わった作家さんの本ですね。 HOW I WORKをもっと読む>>
鈴木拓也