塩野瑛久『光る君へ』一条天皇役の苦悩を語る「楽しかったのは最初だけ。あとはもがいて、苦しんで…」
◆一条天皇になりきっていた 定子役の高畑充希さんに胸を借りたという塩野は、「定子との結婚の背景には政治的な思惑があったとしても、過去の経緯はどうでもよかった。それらはいったん置いておいて、その場での定子の気持ちを受け取って受け取って、丁寧に演じた」と振り返った。 「狭い世界、御簾の奥で孤独をかみしめ、政も大事にして、定子も大事にして、大事にしなければならないことがきちんとわかっていた人」という一条天皇になりきっていた塩野は、気品を常に意識、特別な空気がゆったりと流れていくように心がけたというが、内田チーフ・プロデューサーから「でも、走るシーンも多かったよね」とふられると「そうそう、めっちゃよく走りました! 長袴で走るのもどんどん上手になっていった」と笑った。 ここ数カ月は日焼けをしないように徹底していたというが、クランクアップを前にやや日を浴びたところ、共演者から「少し黒くなった」とすぐに指摘されたという。 ドラマでは、いよいよ吉高由里子演じる紫式部が「源氏物語」を書き始めるが、『歴史探偵』では、膨大な量であったはずの「紙」に注目して、そこにあった道長の思惑を探っていく。これまでの大河ドラマにはないぐらい小道具にもこだわったという内田チーフ・プロデューサーの言葉通り、『歴史探偵』で実際に手に取った鎌倉時代の「源氏物語の写本」と、小道具として触れた和紙との違いをまったく感じなかったと明かした塩野。今後の一条天皇と道長との信頼関係、緊張関係にもますます目が離せない。 (構成=吉田明美)
塩野瑛久