新作85作品から厳選! 「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2024」の注目作品 10
『大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2024』が開催中だ。2000年にスタートし、第9回目を迎える今回のキーワードは、「個々の五感を通して」「地域を深掘りする」「世界とつながる」。新潟県十日町市から津南町に広がる760平方キロメートルに及ぶ越後妻有(えちごつまり)地域を舞台に、41の国と地域から参加した275組の作家による311もの作品が集結。 本記事は新作や新展開となる85作品から、特に注目したい作品を厳選してレポート。見逃せない常設作品もピックアップしたので、こちらも合わせてチェックして。
景山健《HERE-UPON ここにおいて 依り代》
十日町エリアに広がる約12,200平方メートルの敷地にスギ、ブナ、ヒノキなどの樹木がうっそうと茂る、笹山高靇神社。ここには、2点の作品が展示されている。 境内を登っていくと、スギの葉に覆われたドームのような作品が見えてくる。景山健の《HERE-UPON ここにおいて 依り代》だ。木の幹近くに腰を下ろして中を見上げると、頂上に開く空洞から差し込む自然光が、中心に置かれたスギの幼木の上に降り注ぐのが見える。
アントニー・ゴームリ-《MAN ROCK Ⅴ》
同じ笹山高靇神社内には、新しいお社が設置されている。イギリス出身のアントニー・ゴームリーによる《MAN ROCK Ⅴ》だ。これは、石に寄り添うように抱きしめる人間の身体を刻んだ《MAN ROCK》シリーズの新作。ゴームリーは、数ある石の中から信濃川の石を選び、自らの身体をトレースした線を刻んだ。
マ・ヤンソン / MADアーキテクツ《野辺の泡》
松代エリアに立ち並ぶ民家の間から突如姿を表す“泡”の正体は、中国を拠点とするMADアーキテクツのマ・ヤンソンによるランドスケープ作品。来場者は、半透明のPVC(ポリ塩化ビニル)を使った泡の内部に入ることができる。夜間はライトアップされ、幻想的な風景に。 ヤンソンは、外壁に設置された2つの室外機を目に、その下のひさしを鼻に見立てて、本作を構想したので、ぜひ現地で確認してほしい。
ニキータ・カダン《別の場所から来た物》
ウクライナの現代美術界を牽引するニキータ・カダンは、津南エリアの東京電力信濃川発電所連絡水槽にて、2点の作品で構成される《別の場所から来た物》を展示。旧ソ連時代につくられ、現在でもキーウの街中によく見られる子どもの公園をイメージした。またカダンは、現在母国が置かれている不安定な状況を、溶け出すようなフォルムで表現。鏡面仕上げの金属を用いた“遊具”は、1960年代から人類が宇宙を“植民地化”しようとした歴史、そして爆撃機も想起させる。