老朽化するインフラ、放置すると災害リスクも…修繕補修の遅れが目立つ理由、今後の課題は? 専門家が解説
モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」(毎週月曜~金曜6:00~9:00)。1月17日(水)放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「老朽化するインフラ どんな対策が必要か?」。情報社会学が専門の城西大学 助教・塚越健司さんに解説していただきました。
道路や橋などのインフラの老朽化が進んでいます。能登半島地震、そして、阪神淡路大震災から29年となったことを受け、今回はこの問題について塚越さんにお話を伺いました。
◆インフラの寿命は建設後50年…老朽化の現状は?
塚越:インフラについては、基本的に建設後50年が寿命とされています。専門家は、適切な時期に修繕補修などをしなければ災害リスクが高まる恐れがあると指摘しています。 国土交通省の調べでも、2040年で建設後50年以上となる施設がたくさんあります。川や鉄道、道路などの上に作って通りを良くする橋梁で75%、港湾で66%、トンネルで53%となります。 全国の道路や橋は5年に一度点検が義務化されています。国土交通省が去年末にまとめた調査によると、国が管理する施設でも橋梁のうち37.7%、トンネルで31.5%が未修繕の状態になっています。さらに政令指定都市を除いた市区町村の管理下では、橋梁の60.8%、トンネルの47.4%が未着手で、特に地方に修繕の遅れが見られています。
◆インフラ対策の遅れが目立つ地方 資金人材不足が原因
吉田:怖いと感じるのですが、地方のインフラ対策の遅れが目立っているのは、どうしてなのでしょうか? 塚越:基本的には資金・人材の不足です。特に地方自治体はインフラ維持に関する予算と職員の確保が難しく、募集しても応募者がいないケースもあります。お金だけの問題ではありません。 総務省によれば、市町村が整備する道路や橋に充てる土木費は2021年度で6兆5,000億円程度あるのですが、これはピークだった1993年度から43%も減っています。つまり30年前は10兆円規模だったということです。 高齢化で社会保障費が膨らんで公共事業までお金が回らないことに加え、インフラ整備のための技術系職員も不足。さらに市町村全体の25%にあたる437の市町村では、技術系職員は1人も確保できていない状況にあります。