「全ての表現の奥にはバイブレーションがある」インディーズ映画の巨匠が念願の映画化 安部公房の代表作『箱男』
■原作の小説と合わせて堪能を このトークショーの翌日、映画を見に行きました。さすが、インディーズの鬼才と言われるだけに、石井監督の映像は美しい。ただ、1回観ただけでは脳の理解が追いつかないほど情報量がすごくて……パンクした感じでしたね。 私は原作を読んでいなかったので、映画の後に読みました。「あ、これはこういうことだったのか」「これは本のこのシーンだ」と思うことがいっぱいありました。石井監督は、「原作に忠実に映画化した」と話していました。 原作を読んだ人がたまたまトークショーに来ていて、映画を見たら「あ、あのシーンだ!と笑えてしまった」と。笑えたのか、とびっくりしました。 ダンボールを着た浅野さんたちが走ったり、バトルしたりするんですよ。かなりコミカルで、映像的に「おおおー」と思うところはいっぱいありました。原作を読んでみて重なるところがあったので、もう1回観に行ってみようか、と思っています。 この映画は、ちょっと中毒性がありますね。1回で全部理解できる人は、多分いないと思います。「これは何なんだろう?」ともっと気になって……。原作とセットで楽しむことをおすすめします。 ※映画の写真は下記より提供。 『箱男』全国公開中 (c)2024 The Box Man Film Partners 配給:ハピネットファントム・スタジオ ※安部公房氏の写真は新潮社の提供。 ■◎神戸金史(かんべ・かねぶみ) 1967年生まれ。毎日新聞入社直後に雲仙噴火災害に遭遇。福岡、東京の社会部で勤務した後、2005年にRKBに転職。ニュース報道やドキュメンタリー制作にあたってきた。やまゆり園事件やヘイトスピーチを題材に、ラジオ『SCRATCH差別と平成』(2019年)、テレビ『イントレランスの時代』(2020年)・『リリアンの揺りかご』(2024年)を制作した。
RKB毎日放送