選手会 森事務局長が新見解「移籍早まればポスティングなくてもいい」 非会員に“アンフェア”の声も
労働組合・日本プロ野球選手会は5日、大阪市内のホテルで定期大会を開催し、選手の移籍を禁止する「保留制度」の見直しを求めていくことを改めて確認した。大リーグ移籍が低年齢化する中、森忠仁事務局長(62)はフリーエージェント(FA)権取得年数の短縮など、早期移籍が可能になれば「ポスティングシステム」は必要ないとの見解を示した。 球団が容認すれば、海外FA権取得前の選手も早期に大リーグ移籍ができる「ポスティングシステム」。選手会が団結して勝ち取った制度だ。 森事務局長は「個人的には、移籍の選択肢が早まればポスティングがなくてもいいのかなと思う。(海外FA権取得までが)長いからポスティングがある。保留制度を交渉しているので、その辺で解決できる」と新たな考えを披露した。 現状は出場選手登録が145日で1年とカウントされ、高卒選手が8年、それ以外は7年に達すれば国内FA資格を取得できる。一方の海外FA権は9年。選手会は一律で6年に短縮することを要求してきたが、進展はなかった。昨年の定期大会では「ゼロベース」を合言葉につくり直しを求めることを決定。この日の定期大会で森事務局長は「FAの話は継続して交渉していると話しました」と説明した。 今オフはロッテ・佐々木が、ポスティングシステムを利用して大リーグ移籍を目指すことを表明した。高卒5年目を終えたばかりの右腕は昨年、選手会を脱会。森事務局長は当時「情けないし、寂しい」と不快感をあらわにしていた。この日の会議では、佐々木の名前こそ挙がらなかったが、権利だけを享受するアンフェアな状況を指摘する声も上がった。森事務局長は「そういう話も会長(広島・会沢)はしてました。先輩たちがつくり上げたものが当たり前に使える。今自分たちが後輩に同じことをしていかないといけない、と話していた」と説明。昨春には未加入選手は権利を剥奪する案も出たというが「労働組合法でできない」と補足した。 球界再編問題に端を発した04年のストライキ決行から今年で20年。節目の年にポスティングシステムの問題点も表面化した。「(海外に)行きたいという選手には早く行かせたい思いはある。保留制度を短くするしかない」と森事務局長。来年も続投が決まった会沢会長は「ストライキから20年の節目。もう一度、選手会の存在意義を話し合った。一致団結、一枚岩になっていくことが必要」と制度改革を目指し、団結を呼びかけた。(神田 佑) ▽ポスティングシステム 海外FA権取得前に大リーグに移籍する制度。現在は入札ではなく、獲得を希望する全球団と交渉できる。申請期間は11月1日から12月15日までで申請手続き後の交渉期間は45日間。日本球団への譲渡金は選手が契約で保証される額により変動する。また、大リーグでは16年以降、25歳未満かプロ6年未満の海外選手はマイナー契約しか結べない「25歳ルール」がある。