藤原淳さん パリのルイ・ヴィトンで広報として17年/前編。「頑張り屋の日本人」を辞めたらラクになりました
我慢をやめたら見えた、パリジェンヌの生き方
自分の体が壊れてしまったことを機に、藤原さんは「頼られることが人望と勘違いしていた」と気づいたと言います。 「周りをよく見たら、仕事への手の抜き方も自己アピールも上手で。私も頼まれたら何でも引き受けずに、"それは知りません、できません"と言えばいいだけの話だったんですよね。だって、抱え込んでしまうのは人のせいではないから。そこから我慢するのをやめたら、一気にマインドが切り替わりました」 ひとりで抱え込まず人に仕事を振ったり、同僚たちと同じように残業をやめるとプライベートが充実。仕事がうまく回り出して対人関係も好転したのだとか。 「周りの人たちはそのまま何も変わらず、そこに私が溶け込めるようになっていって、ますます気持ちが楽になりました。実は当時、私自身の離婚騒動も大変で、それも落ち着いたら闇から心が抜けて、自分がどうありたいか見えて来たんです。正解は1つじゃない、人は人、自分は自分だと割り切れるようになった。その感覚がパリジェンヌ的な生き方だと思います」 30代半ば、藤原さんは学生の頃に魅了されたフランス人の「自由な生き方」を、自らの道として歩み始めました。 後編に続きます。 藤原淳 ラグジュアリーブランド・マイスター。著作家(パリ在住)。 東京生まれ。3~6歳の間イギリスで育つ。聖心女子大学国際交流学科卒業。1999年、歴代最年少のフランス政府給費留学生としてパリ政治学院に入学。卒業後、在仏日本国大使館の広報を担当したのち、ルイ・ヴィトンのパリ本社にPRとして入社。ディレクターを経て、2021年に退社し著作家へ。著書に「Mes rituels japonais (日本人である私の生活習慣) 」(2022)など。 パリジェンヌはすっぴんがお好き 藤原さんがパリ生活で出会った多くのパリジェンヌの実例をもとに、「自分らしさ」を貫く生き方を提案するエッセイ。『パリジェンヌはすっぴんがお好き』(ダイヤモンド社)256P 1,540円 出版社HP
取材・文/松永加奈
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