14歳から17年間“ひきこもり” 「誰かのために」壮絶体験を発信 本を自費出版で社会に認められた実感
■『ただ、誰かの役に立つことがうれしい』 福祉施設で働き、ひきこもりの体験を“包み隠さず”伝える活動も
現在は、兵庫県丹波市の福祉施設で働く糸井さん。 【糸井博明さん】「手で持って。よし」「みかんからいきます?みかん。食べやすいものから」「なんで私の体をさすってるの?」 いまはただ、誰かの役に立つことがうれしい。 ここまでくるのに、20年という月日がかかりました。
糸井さんは去年から、ひきこもりの体験を伝える講演の依頼を受けるようになりました。 包み隠さず伝えることが、参加者から好評のようです。 【糸井博明さん】「(閉鎖病棟を出て)最初の作業所に通い始めた時に、素敵な女性の利用者がいたことです。その人と、妄想で、ですよ。お付き合いしたい、結婚したいから、就職しようと。京丹後市のお好み焼き屋さんの新聞チラシと、隣の福知山市の食堂の面接に行こうと決めました」「あきらめるのだけはやめようと決めて、進み続けています」 【ひきこもり当事者の親】「ここまで勇気を持って行動ができることが、なかなか難しい部分」「率直な感想としたら、うらやましい。わが子もそうなってほしいと願っている親がたくさんいるのかなと」
■『もう死ぬのではないか…』半生をつづった本を自費出版
【糸井博明さん】「ここに置いてください。ありがとうございます」 ことし糸井さんは、自分の半生をつづった本を自費出版しました。 「さまざまな生きづらさを抱えた人たちのためになれば、自分がこれまで生きてきた意味があるのではないか」 そんな思いがありました。 【糸井さんの著書より】「季節の感覚も、時間の感覚もわからず、急激に体調が悪くなって、もう死ぬのではないか、このまま死んだら、誰も私が生きていてもいなくても、その翌日も何も変わらぬ毎日が続くんだと思っていた」
■自費出版した本が特別賞を受賞 「コツコツあきらめずに達成するまで行動」自分の姿を発信しつづける
先週、糸井さんの姿は、東京にありました。 自費出版した本が“自費出版文化賞”で特別賞を受賞し、表彰されることになったのです。 【糸井博明さん】「誠実に実直にコツコツとあきらめずに、達成するまで行動し続ける。そうでなければ、私はこの壇上に存在しませんし、もう死んでいたかもしれません。私を否定せず、存在を認め続けてくれた恩人、知人、友人、成長を見せ続けることができた母がいたから、ここまでくることができました」