岩手発・ヘラルボニー「福祉×アート」その先へ ネクタイは3万円台 商品の魅力で選ばれるブランド力を強化
作家たちと関わる中で、彼らが兄の翔太さんと同様、日々の中で強いこだわりを持っていることがわかった。それゆえに描き続けられる同じモチーフなどが、作品の持つ力強さや奔放さといった強いオリジナリティになっている。 言葉によるコミュニケーションが難しい作家も多いが、何度も顔を合わせ話をするうちに、文登さんの訪問を歓迎してくれるようになった。そして、商品のデザインを楽しみにしてくれている、と感じることも増えた。
一方で、自分の作品が商品化されることをどう思っているのか、長年一緒にいるスタッフでも、わかりかねることもあったという。 「そういうときは“待つ”こともあります。その瞬間だけで私たちの論理で判断することが、作家さんの幸せを摘み取ってしまうことがあってはならない。僕たちはいつでも作家さんの幸せを第一に考えてきたし、それが変わることはありません」。 【写真をすべて見る】ヘラルボニーの多彩な才能があふれる商品や松田兄弟の幼少期など(9枚)
【後編に続きます→】
手塚 さや香 :岩手在住ライター