水上ドローンが発射したミサイル直撃で「ロシア軍ヘリ」撃墜の瞬間をウクライナ公開…「史上初」の攻撃成功
<海上ドローンが海からの攻撃で空中の標的を撃墜させたのは「初の出来事」。さらなるドローン開発によって「現代の海戦」の様相はさらに変化する可能性が>
ウクライナ国防省のテレグラムへの投稿によると、ウクライナ海軍の水上ドローン「マグラV5」が黒海で前例のない攻撃に成功し、ロシアのヘリコプターを破壊したという。動画には、上空からの機銃掃射を機敏な動きで避けながら無人水上艇がシードラゴンミサイルを発射し、これがロシアのMi-8ヘリコプターを直撃した時のものと見られる様子が捉えられている。 【動画】水上ドローンが発射したミサイル直撃で「ロシア軍ヘリ」撃墜の瞬間をウクライナ公開...「史上初」の攻撃成功 ウクライナの海軍用ドローンが海からの攻撃によって空中の標的を墜落させたのは今回の12月31日の攻撃が初めてであり、戦争における今後の戦い方に変化が生じたことを示唆していると言えるだろう。マグラV5が空中の標的を攻撃することに成功した今回の出来事は、今後、海上に配備される他のドローンの開発が促進される効果を生むかもしれない。 ■これまで黒海で多数のロシア艦船を攻撃してきた実績 今回の攻撃を行ったのは、ウクライナ国防省情報総局(GUR)の特殊部隊だとされる。ロシア占領下のクリミア半島西部のタルクハンクト岬付近の黒海で戦闘中、R-73シードラゴンミサイルを発射し、ロシアのヘリコプターを破壊した。 ウクライナ側はもう1機のロシア軍ヘリにもミサイルを命中させたが、このヘリは基地の飛行場に帰還することができた。 グローバル・ディフェンス・ニュースによれば、マグラV5海軍ドローンは、偵察、電子戦、精密攻撃などのマルチロール・ミッションを想定した高機能無人水上機(USV)だ。ウクライナの軍事情報機関であるGURによって開発されたこの無人機は、クリミアを占領するロシア軍に対する攻撃にしばしば使用され、黒海で多数のロシア艦船を攻撃してきた。 このドローンの最高速度は時速78キロ、航続距離は最大800キロ、爆発物の積載量は200キロとなっており、長距離のミッションに使用できる。その速度と迅速な機動性により、敵の海軍部隊に迎撃されにくい。 また、人工知能を搭載した自律航行システムを備え、精密な機動、標的との交戦が可能で、さまざまな搭載物を統合できる。マグラV5海軍ドローンから発射されるシードラゴンミサイルは、もともと赤外線ホーミング機能を備えたR-73短距離空対空ミサイルとして開発され、その後、空中目標を攻撃するために改造された。 ■空中の標的を水上ドローンからの攻撃で破壊 キーウ経済大学のティモフィー・マイロバノフ校長はXへの投稿でこう説明した。「(世界)初の出来事だ。いまやウクライナの海上ドローンはロシアのヘリコプターをミサイルで攻撃している。2024年12月31日、ウクライナのGURの特殊部隊グループ13は、マグラV5海軍ドローンを使用して空中の標的の無力化に成功した。一時的に占領されたクリミアのタルクハンクト岬付近の黒海での戦闘で、ドローンから発射された最先端のR-73シードラゴンミサイルがロシアのMi-8ヘリコプターを破壊した。2機目の敵ヘリは被害を受けたが、なんとか基地Xに帰還した」 シンクタンク外交政策研究所のシニアフェロー、ロブ・リーは次のように書いている。「GURの発表によれば、グループ13はクリミア付近で、マグラV5海軍ドローンから発射されたR-73ミサイルでロシアのMi-8ヘリコプターを撃墜した。ロシアのチャンネルは、昨年5月にR-73ミサイルを搭載したウクライナの海軍ドローンの写真を投稿している」
マヤ・メーララ