【闘病】出産後に胃がん発覚。胃の3分の2を切除、転移も2か所に認められた
「がん」すなわち「死」のイメージしかなかった
編集部: 病気が判明したときの心境について教えてください。 marimoさん: 「がんになると死ぬ」というイメージしかなく、死への恐怖と、当時4歳と0歳8か月だった2人の子ども達の成長をいつまで見守れるのかという不安や寂しさでいっぱいになりました。 強い薬を飲むため、それまで完全母乳で育てていた生後8か月の娘は、強制断乳せざるを得なくなりました。そして、いつ死んでも悔いのないよう、一日一日を大切に生きようと思いました。 なるべくストレスを溜めず、明るく前向きに過ごすように心がけ、当たり前のことに深く感謝するようになりました。 編集部: 治療中の心の支えはなんでしたか? marimoさん: 家族、特に愛する我が子達です。手術のため入院しなければならなかった時も、実家の両親が子ども達を連れて毎日お見舞いに来てくれ、とても心強かったです。 退院後も1年間は子ども達と一緒に実家で暮らしました。両親が家事をサポートしてくれたので、私は抗がん剤治療と子育てに専念することができました。子どもたちの存在は、今でも私の原動力です。 編集部: もし昔の自分に声をかけられたら、なんて伝えたいですか? marimoさん: 発症前は、自分が完璧を目指すあまり夫や子どもに対してストレスを感じることがとても多かったのですが、「そんなに完璧を目指さなくても良いよ」「元気に育っているだけで十分だよ」「些細なことを気にしていたら人生面白くないよ」と伝えたいですね。 今でも時々、イライラしたりストレスを溜めたりしますが、それも含めて「完璧じゃない自分」を受け入れています。
2人に1人ががんになる時代
編集部: 現在の体調や生活などの様子について教えてください。 marimoさん: 現在は2年間の化学療法を終え、約1年前から仕事にも復帰し、近くに住む実家の両親にサポートしてもらいながら仕事と家庭の両立に励んでいます。 病気になったことで元気に過ごせる時間の尊さを知り、単調ではなかった様々な経験が、人生をより豊かなものにしてくれています。 編集部: 「胃がん」という病気は知っていても、まさか自分が、と思っている方も多いと思います。 marimoさん: 私は慢性的な胃炎などの経験がなく、人一倍健康的な生活を心掛けていましたが、若くして胃がんになりました。胃の進行がんは実は若い女性の割合が高いんですよね。また、ピロリ菌がいることで胃がんの罹患率が高くなることが医学的に証明されています。 ピロリ菌については息を吐くだけの検査で簡単に判定でき、1週間薬を服用するだけで菌を除去できるので、ぜひ一度検査してみることをおすすめします。 編集部: 医療従事者に望むことはありますか? marimoさん: 私は幸い主治医に恵まれましたが、そのような方ばかりではないとも感じています。「がん」と告知されると動揺して決断力が鈍ってしまうので、主治医が信じられなくなるとネット上の様々な情報に流されてしまうのではないかと思います。 そのようにして実際に抗がん剤を拒否して予期せぬ事態になってしまった方のニュースもありました。 もちろん、ネットの情報にも良いものはたくさんありますが、やはり患者が最も頼れるのは目の前の主治医であってほしいと思います。全ての医療従事者が患者一人一人の人生に目を向けてくれることを望んでいます。 編集部: 最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。 marimoさん: 現在は「2人に1人ががんになる時代」と言われています。がんは私のように若くても、がんの多い家系でなくても、健康に気を使っていても、突然発症することがある恐ろしい病気です。「自分は大丈夫!」と思わず、定期健診やがん検診を受けていただきたいですね。 医療が進歩した現代では、早期発見さえできれば完治する可能性も非常に高いです。そして、体に異変があれば後回しにせず、すぐに病院を受診するようにしてください。