脚組みや頬杖は、悪い姿勢ではない? デスクワークに効く「正しい座り方」
体重を乗せるベストな位置は真ん中
それでは、坐骨の前面で座るように骨盤を前に傾けたり、後面を座面に押し当てて骨盤を寝かせてみましょう。 脱力をしながら動かすことで、最も心地よい姿勢を探します。ベストな位置は後ろ側でも前側でもない、実は真ん中です。 骨盤が寝すぎるのもよくありませんし、反りすぎるのもよくない。東洋の思想で「中庸」というバランスがとれた状態をよしとする考え方は、体にも当てはまります。骨盤を立てるイメージで、小さく揺れつつバランスが保たれている意識を持ちましょう。そこが最も力を使わない、脱力が進むポジションなのです。 ここでお伝えした正しい座り方とは、「身体構造的に正しい座り方」です。「座る」のも身体運動であり、筋肉や骨格がどのように使われているかで、座ることが上手にも下手にもなります。 体がもっている機能を充分に発揮できていない状態は、脳が充分に働いていない状態です。ただ座り方を変えるだけですが、結果として集中力に対する影響はとても大きいものがあります。「集中するのだ!」と気合いで乗り切るより、ただ「正す」だけで、努力感もなく集中力は身につきます。
頬杖や脚組みをする動作は血液循環をよくする
長い勤務時間じっとしていられないから、どうしても脚を組んでしまう、頬杖をついてしまう、という話をクライアントから聞きます。悪いことをしているかのように皆さん話してくれますが、大いに結構です。素晴らしい。 そもそもなぜ脚を組んだり、頬杖をつくのかといえば、できるだけその姿勢を保つために筋肉を休めたり伸ばしたりして、血液循環を促そうと無意識にしているからです。寝返りも一緒。子どもって代謝も盛んですが、それと比例して寝返りも凄まじいですよね。 人間は動物であり、生物です。そして生物とは常に活動、代謝をしながら生きています。脚を組み、普通に戻したり、また逆で組んだり。こうした行いは、むしろ体が歪まないように調整してくれるものですので、たくさん組みましょう。ただし、同じ姿勢でいることだけは避けてください。動きが止まり、固定されることは体にとって「悪」です。 「脚を組むと骨盤が歪むのでは?」とよく質問されますが、脚を組むことが悪いのではなく、ずっと同じ姿勢でいることで特定の場所に大きな負担がかかることが、いわゆる「歪み」につながるのです。 例えば、頭を前に倒して、ピクリともしない姿勢のまま60秒カウントしてみてください。1、2、3、4...、かなりつらいですよね。首はつらいし、息は詰まる。動けない状態は人間にとって最大にストレスがかかります。 しかし、私たちは同じようなことを、仕事に集中しながら数十分または数時間行っています。これを週5で、引退するまで続けると考えるとゾッとします。