便秘とは無縁の吉本ばななさんが、腸のためにしていること。
年齢とともに自分の体を把握、無理をしたら調整できるように。
もうひとつ、腸をはじめ体全体を整えるために吉本さんが毎日行っているのがストレッチ。人間の自然治癒力を重視するロバート・C・フルフォードが考案した8つのストレッチのうち、自分に合うものを毎晩寝る前に10~30分ほど。どの動きも無理なく続けられるものばかりで、体全体の巡りをよくしてくれる。
「考案したフルフォードさん自身が90歳過ぎまで生きていたというところに説得力を感じます。基本的に座り仕事なので、どうしても体がこってしまうし巻き肩になりがちなんですが、これを寝る前にすると、姿勢がリセットされるんです」 もう10年ほど続けているこのストレッチの効果は、体のこりや姿勢の改善にとどまらない。
「毎日続けているうちに『あ、今日は体のここがいつもと違う』と気づけるようになりました。自分の体にしっかり向き合えることが、このストレッチの一番いいところなんじゃないかと思いますね」 50歳を過ぎてから、自分の体の状態を把握できるようになってきたという吉本さん。若い頃よりもむしろ今のほうが元気になったと話す。 「『この体の感じだと、後で調子が悪くなりそう』など、その時は不調ではなくても、何となく分かるんですよね。そんな時は出かけるのを控えたりするようにしています。お腹に関しても同じです。『この感じだと今日は油ものを抜いたほうがいいな』とか『今日は1食抜こう』とか判断できるんです。仕事をしている以上、時には無理をせざるをえないこともありますが、無理をした後に自分で調整しているという感じでしょうか。そのコツが分かるようになってきましたね」 仕事以外にも家事や育児、介護など、何かと無理を強いられる場面も少なくない大人世代。しかも年齢とともに心身の変化を感じることは避けられない現実だ。そうした自分の状態を日々きちんと受け止めて見つめ、できるだけ整えていくことが、元気に過ごすうえでの土台になるのかもしれない。 「巷にはいろいろな腸活法や健康法がありますが、自分の体は自分しか知ることができない。常に“今の自分”の体を見極め、それに合わせて調整することが大事なのだと思います」