“紫の魔法使い”トルガイ・アルスランが描く理想の選手像。親友ソン・フンミンへの想いも語る「彼にとって唯一残念なのは…」
「対戦して一番衝撃を受けたのはイブラヒモビッチ」
攻守の重要局面となる「バイタルエリア」で輝く選手たちのサッカー観に迫る連載インタビューシリーズ「バイタルエリアの仕事人」。第46回は、サンフレッチェ広島のMFトルガイ・アルスランだ。 【画像】セルジオ越後、小野伸二、大久保嘉人、中村憲剛ら28名が厳選した「 J歴代ベスト11」を一挙公開! 前編では、広島への移籍を決断した理由や、ゴールを量産できている要因、バイタルエリアを攻略するうえで意識していることなどを語ってもらった。後編となる本稿ではまず、理想の選手像を訊いた。 ――◆――◆―― おそらく世界で一番素晴らしいプレーヤーは誰かと質問されたら、誰しも(リオネル・)メッシだと答えるでしょう。それは疑いようのない事実ですが、自分が理想の選手として思い浮かべるのは、元フランス代表の(ジネディーヌ・)ジダンです。 それはなぜかというと、彼が与える影響は凄いと思っているからです。たとえチームの流れが悪い試合でも、そこから一人で勝ちに持っていける力があると感じます。ジダンが出ているゲームは絶対に負けないという雰囲気がありますし、今でも現役時代の彼のプレー集などを見たりしていますよ。 これまで様々な国でプレーしてきましたが、対戦して一番衝撃を受けたのは、ズラタン・イブラヒモビッチですね。彼もジダンに似たような能力があって、自分でゲームをコントロールして、試合を決めてしまう。そしてピッチの上での振る舞い、チームメイトたちとのコミュニケーションの取り方が非常に優れていて、とても印象深かったです。 また、僕は優れたチームメイトたちともプレーしてきました。ドルトムントのユース時代には、元ドイツ代表のマリオ・ゲッツェがいました。かなり仲の良い選手でしたし、その頃からすごく才能があったので、将来的にワールドクラスの選手になるだろうと感じていました。彼と同時期を過ごし、素晴らしい経験ができたことは自分の財産になっています。当時、求められたのは強いメンタルと1回のチャンスをものにできる力です。やはり世界で活躍するためには、それらの要素が必要不可欠だと思います。 プロになって、ハンブルク時代には韓国代表のソン・フンミンとチームメイトでした。彼とは本当に“親友”と呼べる仲です。フットボーラーとしても、人としても尊敬できますし、若い頃から練習に取り組む姿勢であったり、考え方、人との接し方など、素晴らしい人間性を持っていました。彼もまた、ゲッツェと同じように世界のトップの中のトップになるだろうと当時から感じましたし、若い頃の彼を知っている自分は、今あのような立場にいるのは当然だと思っています。 ソンにとって、唯一残念なのは、同じ時代にメッシやクリスティアーノ・ロナウドがいることでしょう。もし別の時代に生まれていたら、さらに上のレベルにいると思いますよ。 そして、もちろん今プレーしているJリーグにもレベルの高い選手たちが揃っています。なかでも僕が特に凄いなと思う選手は、チームメイトでもある(松本)泰志と中野(就斗)の2人です。でも他にも言えばきりがないですね。シオ(塩谷司)であったり、キャプテンの(佐々木)翔、ゴールキーパーの(大迫)敬介であったり(中島)洋太朗やマコ(満田誠)、(加藤)陸次樹もそうですが、広島にはベストプレーヤーたちが揃っています。
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