築65年老朽化団地、1棟まるごと断熱リノベで暑い、寒い、カビ・結露と決別! 住人は住みながら改修・仮住まいや引越しなしで 「アンレーベ横浜星川」神奈川県横浜市
団地の改修のモデルとして旧桜ヶ丘共同住宅を選んだワケ
改修モデルとして旧桜ヶ丘共同住宅に白羽の矢が立ったのは、いくつかの条件からです。まず改修時点で築60年を超えていたこと、空き住戸があること、規模が大きくなく、1棟丸ごとでの改修が可能なことなどです。 「改修とともに建て替えも検討されるところですが、古い団地が存続してきた数十年の間には建築基準法の改正があり、現行の法律の高さ制限などを超えている建物もあります。基準を満たすよう現状よりも建物を小さくすれば、建て替え費用に対して収益が見合わず、事業としての採算が取れなくなってしまいます。 住人のみなさんの快適な生活を守ることが私たちの第一の使命ですが、同時にきちんと収益を確保できる形でなければサービスを継続できません。長く、快適な住まいを提供できる団地のあり方を検討するためのモデルとなったと言えるでしょう」
建物寿命90年を目指した「外断熱改修」の手法とは?
快適な住まいへ改修するために旧桜ヶ丘共同住宅で採用されたのは「外断熱」工法でした。当時、全32戸のうち22戸が入居中。長く住んでいる人たちに居住スペースへの立ち入りや工事中の騒音・振動などの負担をできる限りかけないよう選択された方法です。さらに建物の構造体にできる限り荷重をかけない工法として「透湿型湿式外断熱工法」を採用しました。
この透湿型湿式外断熱工法は、コンクリートに高い透湿性をもつ断熱材を接着させて外壁を断熱材で支える工法です。支持金物を設置して外装材と断熱材を施工する乾式工法に比べ、建物への負担が少なく済みます。旧桜ヶ丘共同住宅では断熱等級4相当、厚さ50mmの断熱材を使用しました。
さらに全ての住戸で窓サッシをLow-E複層ガラスを使用したものに改修。古い建物で換気設備が整っていなかったため、24時間換気設備も備え、断熱性能とともに換気性能の向上も図り、結露やカビの対策をしています。
全ての住戸の窓は断熱効果の高い複層ガラスを使用したサッシに改修。換気機能の付きの白い調整弁もついている。