エヌビディア決算、時価総額3000億ドルの株価変動にトレーダー身構え
(ブルームバーグ): 半導体メーカーの米エヌビディアが20日行う8-10月(第3四半期)決算発表で、トレーダーは株価の並外れた急変動に備えている。
ブルームバーグがまとめたデータによると、決算発表後1日のエヌビディアの株価は上下いずれの方向にも約8%動くことが、オプションで示唆されている。時価総額にして約3000億ドル(約46兆7000億円)の変動が見込まれていることになり、これを上回る時価総額を持つ企業はS&P500指数の構成銘柄のうち25社しかない。指数にとってエヌビディアの決算は、次回の連邦公開市場委員会(FOMC)や消費者物価指数(CPI)統計よりも大きなリスクを呈していると、バンク・オブ・アメリカ(BofA)のストラテジストは指摘した。
人工知能(AI)絡みの代表的な銘柄として時価総額で世界最大の企業に成長したエヌビディアの決算は、1年以上にわたり決算期で最も注目されるイベントとなってきた。だが、20日の米国市場引け後に予定される同社の第3四半期決算は、業績と今後の見通しがどうなるのか、いつになく不透明性が強い。
というのも、同社の最新の製品ラインであるAI向け次世代チップ「ブラックウェル」に何を期待するかについて、ウォール街の見方が割れているからだ。エヌビディアはブラックウェルが11-1月(第4四半期)には数十億ドルの売り上げに寄与するとし、ジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は同製品に対して「常軌を逸した」需要があると述べた。
だが、生産に遅れが生じており、ただでさえ難しい供給の予測をいっそう困難にしている。
フォート・ピット・キャピタル・グループのダン・アイ最高投資責任者(CIO)は「ブラックウェルの生産能力を巡って、大きな未知数がある」と指摘。「ファンCEOはこれまでに高い信頼性を確立しているが、今回のハードルは極めて高い」と述べ、エヌビディアが市場を驚かせるほどの圧倒的な第4四半期の見通しを示すことは難しい公算が大きいと付け加えた。