これでは、まるで「ザル制度」…!じつは、「科学的根拠が貧弱すぎ」の機能性表示食品。制度そのものがヤバすぎた「衝撃の真実」
「健康と食」への危機感が、これほどまでに高まったことがあるでしょうか。 「腸内フローラを良好にし、便通を改善する」ビフィズス菌配合サプリメント。「脂肪の吸収を抑え、排出を増加させる」トクホコーラ。「10分のジョギングと同じ消費カロリー効果がある」高濃度茶カテキン飲料。 【画像】「世界各地で愛されている」くさい食べ物ランキングで判明「仰天臭さの中身」 国の制度によって「効能・効果」を大々的にアピールするトクホや機能性表示食品などの「保健機能食品」。いまや、私たちのまわりには、「健康食品」が溢れんばかりにあります。しかし最近、機能性表示食品の摂取によって、大きな健康被害が生じる事故が起こり、その安全性への信頼が揺らいでいます。 氾濫する「健康関連食品」情報 をたんねんな調査で読み解き、長年にわたって問題点を指摘してきた群馬大学名誉教授・高橋久仁子さんが、保健機能食品制度の“根拠”とされる論文を解読してわかった「驚きの実態」を克明にリポートした『「健康食品」ウソ・ホント』から、ぜひ知っておきたいトピックを厳選してお送りしましょう。 ※本記事は、『「健康食品」ウソ・ホント 「効能・効果」の科学的根拠を検証する』から、再編集・再構成の上、お届けします。
機能性表示食品とは
私たちが口から摂取するもののほとんどが「食品」です。 食品衛生法第4条第1項には、「この法律で食品とは、全ての飲食物をいう。ただし、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律に規定する医薬品、医薬部外品及び再生医療等製品は、これを含まない」とあります*。要するに、「医薬品」と「医薬部外品」以外は食品である、ということです(図「経口的に摂取する物質の区分」)。 *「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」は聞き慣れないかもしれませんが、旧・薬事法のことで2014年11月25日からこの名称となり、「旧・薬事法」「薬機法」「医薬品医療機器等法」と略称されています。 食品はさらに、機能性を表示できる「保健機能食品」と表示できない「一般食品」に区分されます。保健機能食品ではない、いわゆる「健康食品」はたくさんありますが、機能性の表示ができないという意味ではあくまでも「一般食品」です。 また、「機能性食品」は必ずしも機能性表示食品ではありません。きわめて紛らわしいのですが、食品の機能性研究を行う領域の研究集団は、「機能性食品」とは「食品の三次機能を効率よく発揮するように設計・加工された新食品」であると定義しています。 この定義に基づいてつくられた食品を消費者庁に届け出てそれが受理されれば、その機能性食品は同時に、機能性表示食品でもありますが、届出受理がなされていなければ単に機能性食品ということです。 ただし、あえて機能性食品といわなくても、機能性成分を配合したいわゆる「健康食品」は市場にあふれているのが現状です。 なお、保健機能食品とひとくくりにしても、定義等に関する法律が異なるため、統一性はありません。『「健康食品」ウソ・ホント』では、それぞれの定義がどこに記述されているかを一覧表にまとめたものを掲載しました。同書をご覧いただければおわかりになるように、表向きは「国民の健康に資するため」とされていますが、トクホが一応は健康政策に基づくものである一方、機能性表示食品は経済活性化のためにつくられたものであり、成立背景がまったく異なります。 保健機能食品は「国が定めた制度」に基づいているのだから、いわゆる「健康食品」よりその機能性は確かなものに違いないーーこう期待する人が少なくありません。しかし、実際には期待するほどのものではないことを、『「健康食品」ウソ・ホント』で詳しく解説しました。