大島病院で大規模災害訓練 IT活用し情報伝達 陸自救急車が患者搬送
奄美大島唯一の災害拠点病院である鹿児島県立大島病院(石神純也院長)で25日、地震と津波を想定した大規模災害訓練が行われた。陸上自衛隊奄美駐屯地の他、奄美看護福祉専門学校や県立奄美高校生ら総勢約210人が参加。患者受け入れの流れを確認しつつ、今年はIT(情報技術)を活用した情報伝達に取り組んだ。 災害拠点病院とは傷病者の受け入れや搬出、被災地への医療チームの派遣など24時間態勢で対応できる病院。2023年4月現在、県内に14病院ある。 今回の訓練は奄美市名瀬で震度7の地震が発生し、8メートルの高さの津波が来たと想定し実施。大雨が降る中、陸自の救急車両が同病院へ負傷者を次々と搬送。正面玄関前では医師が患者役から症状を聞き取り、治療の優先順位を4段階に振り分ける「トリアージ」を実施。重症度別に分かれた治療エリアへと患者を誘導していた。 同病院1階ロビーはいすが撤去され、負傷者を乗せたストレッチャーがずらり。本番さながらの物々しい雰囲気に包まれた。また、現場の状況をインターネットを使い4階の災害対策本部へとリアルタイムで共有する手順も確認した。 訓練に協力した陸自は「搬送した患者情報を医療機関へ申し送る際、互いに共通の記録用紙を使うなどして引き継ぎをスムーズに行う工夫もしている。事故なく安全に訓練ができている」とコメント。中村健太郎救命救急センター長は「発生から48時間以内の急性期の対応が鍵。平時から他の医療機関との連携体制の構築を図っていきたい」と総括した。