野村克也監督「江夏に見合う大投手はお前しかおらん」も実はサッチーが原因!? 江本孟紀氏が明かす阪神へのトレード裏話 「プロでやれたのは張本勲氏のおかげ」
野村克也監督「俺が受けると2桁勝てる」
江本氏の東映でのプロ1年目の成績は、26試合に登板して0勝4敗、防御率5.02。この1年目のオフに南海(現・ソフトバンク)にトレードされる。 徳光: 南海へのトレードはどういう経緯だったんですか。 江本: 当時、野村さんが南海の監督で4番でキャッチャーだったんですよ。 徳光: プレイングマネージャーだったころだ。 江本: 南海には、高橋博士さんっていうすごいライバルキャッチャーがいたんですよ。どうもこの人を出したかったんでしょうね、私の解釈では。 この高橋さんを出すために東映に声をかけて、「東映から誰をくれるんだ」と。佐野(嘉幸)さんっていうサードをやってる人。それだけだと釣り合いが取れないから、「あと誰か付けろ」と言われて、「そういえばドラフト外で安い金で入ってきた、来年やるかどうか分からんアイツを付けとけ」って出てきたのが僕なんですよ。 で、南海に行って練習が始まったその日、野村克也がグリーンのリンカーンでグラウンドの中まで入ってくるわけですよ。「くそー。俺の給料だとあのタイヤくらいしか買えねぇな」とか思いながら見てたら、藤山寛美みたいな顔して出てきた。グリーンのブレザーかなんか着て、もうセンスのないこと(笑)。 徳光: (笑)。 江本: 「おい、お前ら、俺みたいにいい車が欲しかったら、しっかり頑張れや」とか言ってね。もう内心では「このクソガキ」と思ってね。プロの世界は、みっともないんですよ(笑)。 その練習が終わったら、「監督室で監督が待ってる」って…。 徳光: 呼ばれたんだ。 江本: 初めて面談。「今度入りましたんで、よろしくお願いします」って野村さんに挨拶したら、「おい、お前の球な、敗戦処理で時々来るの見てたけど、俺が受けると2桁勝てるぞ」って言われたんですよ。 徳光: へぇ。 江本: その言葉は嬉しかったですね。お愛想にせよね。高校で出場停止になって以来、初めての温かい言葉なんです。これは効きましたね。
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