「星野源さん、紅白歌合戦の楽曲変更」がテレビ業界の「パンドラの箱を開けた」と言えるワケ
連載「情報戦の裏側』をフォローすると最新記事がメールでお届けできるので、読み逃しがなくなります。 ● 兵庫県知事のパワハラ騒動と同じ 「疑惑」で「クロ」 【この記事の画像を見る】 「星野源さんも紅白制作チームも素晴らしい判断をした!いつも年越しは民放を観てるけど今年はNHKを観ようかな」 「いやいや、性加害疑惑を指摘された人とこの楽曲、直接的には何も関係ないじゃん。いくらなんでもこのクレームはこじつけだって」 そんな感じで、年の瀬の寒さが吹っ飛ぶほどの熱い議論が交わされているのは、12月26日に報道された「星野源さん、紅白歌合戦の楽曲変更問題」だ。 そもそもの発端は、今年のNHK紅白歌合戦の制作チームが、星野さんに対して「地獄でなぜ悪い」という楽曲の歌唱をオファーしたことだった。 なぜ制作チームがこの楽曲を選んだのかというと、「いま苦しい時代を生きる方々を勇気づけてほしい」という意図からだという。 というのも、実はこの曲は、星野さんが2012年にくも膜下出血で倒れた後の闘病中に作詞したものなのだ。星野さん自身の闘病生活も振り返りつつ、この曲を熱唱してもらうことで、全国の病床に伏せていたり、健康問題で苦しんだりする人にエールを送りたい…というのが紅白側の狙いだった。 だが、その決定を世間に公表したところ、一部の方からNHKと星野さんサイドに凄まじい怒りのクレームが入る。 「お前ら正気か? こんな歌を紅白で歌われたら、性加害の被害者へのセカンドレイプになるだろ!」 なぜそんな話になってしまうのかというと、この楽曲が主題歌に使われた映画「地獄でなぜ悪い」でメガホンをとった園子温氏が2022年に週刊誌で性加害疑惑を報じられたからだ(24年に和解が成立)。 「えっ? 星野さんもこの楽曲もぜんぜん関係なくない?」と思うかもしれないが、そういう理屈が通らない理由がもうひとつある。実はこの週刊誌に性被害を告発した女性が22年末に自宅で自殺をしてしまっているのだ。