【闘病】シェーグレン症候群を発症して10年 近年は「毎年入院するように」
調子の良い日は体を動かしたり、外出したりするのが楽しみ
編集部: シェーグレン症候群と診断されてから、生活にどのような変化があったのでしょうか? りんさん: 体調が悪くなることが多くなり、予定が立てられないことが増えました。例えば、その日になって急に体調が悪くなることもあり、友達に会う予定や旅行が組めず、無理もきかなくなりました。ほかにも、涙や唾液量が少ないため粘膜が乾燥しやすく、感染症にはものすごく気をつけるようになりました。その一方で、生活の大半を過ごす職場では、目指していた仕事の目標を諦めないといけないケースも出てきて悔しい想いもしました。 編集部: 仕事は病気発症後も続けているのですね。 りんさん: 仕事はずっと続けています。調子の良い日にはヨガをしたり、ドライブやランチに出掛けたりすることもあります。 編集部: これまでりんさんの心の支えになったものは何でしょうか? りんさん: 大好きな友達と話すこと、そしてSNSで同じ病気の仲間と知り合い、病気の情報を共有することです。ストレス発散になるだけでなく、お互いに支え合う存在になっています。 編集部: 現在の体調や生活の様子についても教えてもらえますか? りんさん: 2009年に発症してから10年間は普通に生活していましたが、2019年頃から毎年治療で入院するようになりました。この取材を受けている現在(取材時)も入院中で、ステロイドを投薬しています。昨年末に歌手の八代亜紀さんが膠原病による進行性の肺炎で亡くなられていたので、私自身も感染症などには慎重になっていましたが、肺炎を併発し、入院することになりました。
目に見えない病でも、たった一言の声掛けで助かる人がいる
編集部: もし病気と判明する前の自分に声をかけられるなら、何と伝えたいですか? りんさん: とにかく病気になってからも仕事人間だったので、自分の身体を第一に考えて、「もうそんなに頑張らなくていいんだよ」と言ってあげたいです。 編集部: りんさんからシェーグレン症候群について知らない方、普段意識せず過ごしている方にメッセージをお願いします。 りんさん: 私は病気をオープンにしていますが、正直、職場に出ると健康な方と同じ一人前とみなされてしまいます。目に見える病気ではありませんし、配慮してもらえていないと感じることは多々あります。「大丈夫?」と気遣いの一言があるのとないのとでは、気持ちも全然違ってくることを知ってほしいです。 編集部: りんさんが医療従事者に期待することはありますか? りんさん: まず思うことは、感謝です。夜通し患者さんの心に寄り添って看護してくださり、頭の下がる想いです。強いて言えば、患者さんに対しては、子どもに接するような優しい口調を心がけていただきたいです。 編集部: 最後にりんさんの経験を通して伝えたいことと、読者の方へ向けてメッセージをお願いします。 りんさん: 体調が悪ければ、わずかな身体の異変も見逃さずにすぐ受診してほしいです。納得いかない診断なら、自分が納得するまで何度でも病院を変えて、きちんとした診断を受けてください。また、健康診断や人間ドックの検査結果を軽く見ないことです。要検査・要治療と出たら、イエローカードかレッドカードと受け止めて、いかなる理由があっても決して放置してはいけません。そして、読者のみなさんも、心のどこかに「私に限ってそんな病気に罹るはずがない」と思っている節があるはずです。「これくらい大丈夫」とか「どうせ風邪だから」と過信していることもあると思います。この記事を読んでくださった方の中で、病院に行くべきか迷っている方がいるなら、すぐに受診して安心していただきたいです。また、シェーグレン症候群に限らず、長期にわたって治療や通院が必要な病気と向き合っている方、これから向き合う方には、「主治医との相性」も治療をするうえでとても重要になってくると伝えたいです。納得できる治療方針を一緒に考えてくださる先生、患者さんの心に寄り添い、聴く耳を持ってくださる先生を探し、安心して治療を受けてほしいと思います。