「豚肉が入ってるぞ!」イスラム教徒を激怒させた日本のレストランに呆れるフランス哲学者「自民党はこの店と同じ対応して負けた」
高市か石破か、という決戦投票は、究極の二者択一
高市か石破か、という決戦投票は、究極の二者択一であったにちがいない。党内屈指の保守論客で「安倍路線の継承者」とも呼ばれており、実際、総裁選の際の推薦者20人のうち14名を旧安倍派が占めている高市早苗と、既成の派閥には属さず反安倍路線の非主流派石破茂、この二人の一騎打ちである。 派閥の中でも、収支報告書への不記載の額が多いとされているのが、最大派閥の安倍派であった。所属議員98人の大半が還流を受けていたことが明るみに出ただけでなく、安倍派の座長を務める元文部科学相の塩谷立と、安部派の有力者「5人組」にも裏金疑惑が持ち上がった(2024年1月19日付「東京新聞」ネット版)。さらに、故安倍晋三は、反社会的カルト教団およびその傘下にある保守系政治団体ともつながりが深かった。安倍路線の継承を公言してやまない高市を党の顔に据えれば、自民党は、国民の政治不信を招いた党体質に関して、まったく反省していないことを有権者に示すことになる。下手をすれば、与党の座から転落することもありうる。 そうすれば、残るはあとひとり、石破茂しかいない。石破は派閥に属しておらず、旧安倍派からの推薦人もいない、マージナルな〝浄い〟候補である。そう考えて、心情的には石破にくみしたくないが、党利のため石破に票を投じた党員たちもいただろう。こうしたシナリオのもとで、石破は自民党総裁に選出され、10月1日、衆参両院における首相指名投票の結果、第102代目の内閣総理大臣として指名されることになったのである。
自民党は「石破を使い捨てた」だけ
窮地に陥った自民党がとった戦略は、けっきょく、「表紙の取り替え」と「首相の使い捨て」という「奥の手」だった、とジャーナリストの塩田潮は述べる。すなわち、「国民の批判の嵐をくぐり抜け、新時代を装って新型のリーダーを担ぎ出す。党の体質や構造など、本質部分の変革が不可欠とわかっていても、変革に伴う失敗や党分裂のリスクを巧妙に避け、いわば古本の表紙だけを替えて、新本に見せる」(2024年9月13日「東洋経済online」)というやり口である。 まさしく、眼に見える肉片だけを除去して、肉無しカルボナーラを作り直したかのように見せかけたレストランの手法と同じではないか。