「豚肉が入ってるぞ!」イスラム教徒を激怒させた日本のレストランに呆れるフランス哲学者「自民党はこの店と同じ対応して負けた」
自民党は、このレストランスタッフの振る舞いに似た対応をした
レストランのシェフは、アルジェリア人のクレームからわずか数分後に「豚肉〝無し〟の料理」を提供することで、翻ってこの料理が豚脂にまみれた元の料理と何も変わっていないこと、客の要望に真摯に取り合う意思をもたないことをはからずも証明してみせたのだ。 今回の衆院選における自民党の対応は、これとよく似ている。 とどまることを知らない物価の高騰にあえぐ国民を尻目に、少なくない数の自民党議員が、本来仕える相手である国民のためではなく、ただみずからの身分と既得権益を守るために、反社会的なカルト教団と癒着し、組織票を依頼していた。さらに、安倍派や二階派などの派閥の政治資金パーティーの参加チケットの販売のノルマを超えた分を所属議員に還流させながら政治団体の収支報告書に記載しないという、いわゆる「裏金問題」も露呈していた。 こうした、国民に対する背信行為が衆目を集めるなかで、党員のカルト教団との結託・協力に関する調査、および「裏金議員」に対する岸田政権による処分は–––それらを徹底的に推進すると党そのものの存立構造が根底から瓦解してしまうため–––きわめて中途半端なものにとどまった。岸田内閣に対する国民の信頼は地に落ち、支持率は発足以来最低の23%に下落する(2024年6月24日読売新聞)。そんななかで任期満了に伴う総裁選が2024年9月27日に行われ(岸田は出馬を辞退)、石破茂が第28代自民党総裁に選出された。
なぜ自民党のアウトサイダーだった石破が勝てたのか
それにしても、「異端として、みずからのキャリアを正統を黙認することの拒絶に費やしてきた反対派、自民党の完全なアウトサイダーとして広く知られてきた」(be widely perceived as a maverick, as the LDP’s consummate outsider, a dissident who has spent his career refusing to acquiesce to orthodoxy)(the Japan Times紙による)石破が、なぜ自民党の総裁選を勝ち抜くことができたのか。 総裁選には現行の総裁公選規程では過去最多となる9人が立候補した。党所属国会議員による368票と、全国の党員・党友等による投票に基づく総党員算定票368票の合計736票のうち、高市早苗が181票、石破茂が154票、そして小泉進次郎が136票を集める。過半数を超える得票数の候補者がいなかったため、高市早苗と石破茂による決選投票を実施。その結果、石破茂が過半数を超える215票(有向投票数409票)を獲得したのである。