納税者「納得できません」…税務調査後に〈不服申し立て〉ができるケース【税理士が解説】
税務調査の不服申し立てをする際の注意点
税務調査の処分内容に納得がいかない場合は、不服申し立てを行う権利があります。しかし、不服申し立てを行う際にはいくつかの注意点があります。 ■納税を済ませたうえで不服申し立てをする 税務調査の結果、追徴課税がなされた場合、まずは追徴課税分の納税をしておいた方が賢明です。不服申し立てを行い、再調査の請求や審査請求によって税務署長の処分内容を覆すことができれば、追徴課税分の税額は返還されます。しかし、再調査の決定や審査の裁決によって納税者側の主張が認められなかった場合は、決定や裁決が出るまでの延滞税も発生してしまうのです。したがって、不服がある場合もまずは納税を行ったうえで不服申し立てに進むようにしましょう。 ■「再調査請求か」審査請求か」の決断は迅速に 税務調査の処分内容についての不服申し立てを行う手段には、税務署長に再調査の請求を行う方法と国税不服審判所長に審査請求を行う方法の2つの選択肢があります。再調査の請求では、税務調査を行った調査官が所属する税務署が再調査を行います。したがって、最終的な判断は、同じ税務署長が決定することとなるため、納税者の主張は認められにくいという現状があります。しかしながら、必ずしも訴えが認められないわけではなく、令和4年度の再調査の請求の認容割合は4.6%となっています。 一方、国税不服審判所長に対して審査請求を認める場合、第三者的立場で審査が行われるというメリットがあります。しかし、納税者の主張を正しく訴えるためには、入念な準備が必要です。そのため再調査の請求をせずに審査請求を行う場合、準備が十分に進められない恐れがあります。 再調査の請求も審査請求も処分の通知を受けた日の翌日から3ヵ月以内に不服申し立てを行わなければなりません。したがって、納税者は、再調査の請求か、審査請求か、どちらの不服申し立て手続きが適しているのかをスピーディーに決定する必要があるのです。 とはいえ、どちらの不服申し立て手続きを選択すべきかを判断することは決して簡単ではありません。また、税務署長または国税不服審判所長を納得させられる資料を作らなければ、不服申し立てを行っても、訴えが認容される可能性は低いでしょう。税務調査の処分に不服があり、不服申し立てを行う場合は、再調査請求や審査請求に詳しい税理士に相談した方が賢明です。 松本 崇宏 税理士法人松本 代表税理士 お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴税額ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。 税理士法人松本 税務調査特化税理士法人として全国6ヵ所(渋谷、錦糸町、新宿、横浜、柏、大阪)にオフィスを構え、“成功報酬型”税務調査サポートを提供する税理士事務所では国内No.1の規模を誇る。国税局に勤めていた、いわゆる「国税OB」が複数名所属。税務調査相談実績は累計1000件以上。一般業種より税務調査が厳しいと言われる風俗業界の税務に10年以上特化し、追加徴税額ゼロ円の実績も多数。
松本 崇宏,税理士法人松本