「26歳まで生きてくれた難病・クルーゾン症候群の次男」稲川淳二(77)障がいを特別扱いしない活動を続ける現在地
■「障がい者だから」ではなく素晴らしいものは素晴らしい ── 2021年から障がい者アーティスト発掘のために「稲川芸術祭」を開催していますね。 稲川さん:由輝からたくさん学び、自分の人生が変わったので、いい意味でお返しをしたいと考えました。ちょうど、同じ志の人たちと一緒にやろうという話になり、私にできることならと始めました。「稲川芸術祭」なんて名前を冠するのはおこがましいようにも感じましたが、素晴らしい方には賞状を差し上げたいと思いましてね。この芸術祭は、素晴らしいアーティストを世に送り出したいという気持ちで行っています。障がい者の作品だから、ではなく、素晴らしいものは素晴らしい。私はね、障がいは個性だと考えています。
デッサン力があるし、私も描けないような作品が多くて、プロだと思える人が何人もいるんですよ。逆に私が力をもらっています。そんな作品を、もっと皆さんに見てもらえたら嬉しいですね。たとえば、建物を作ってその壁面を彼らの絵でうめればいいのに、と思います。彼らの絵は、明るくて夢や希望に満ちた絵が多いです。そんな絵が壁一面にあふれていたら、優しい幸せな気持ちになりますよね。私も毎回、感動しています。 ── 芸術祭には、稲川さんの工業デザイナーとしての経験もいきているんでしょうね。毎年、画集を作り、国内外のプロダクトデザインに使われるよう企業に働きかけていくとのことで、可能性を感じます。受賞者の反応はいかがですか?
稲川さん:ふつうですよ。障がい者というと特別に感じられるかもしれませんが、歩くのが難しければ車いすに乗っていますが、考え方も話す内容も違いはありません。受賞者は賞を獲り、すごく喜んで次に向けて意欲を燃やしています。「障がいがあるから」「障がいある人が描いたから」っていうのは、違うと思います。たしかに障がい者だけど、それは前面に押し出すものではなくて、ひとつの個性でしかない。上から目線ではなく、対等に「よく描いてるね、この人」と評価してもらいたいです。
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