移転直前に浮上した「豊洲」欠陥問題 本当に大丈夫なのか?
長らく東京都民の胃袋を支えてきた築地市場が、間もなく歴史に幕を下ろします。老朽化などを理由に、11月7日に約2キロメートル離れた江東区豊洲の豊洲市場に移転する予定なのです。築地市場は関東大震災で被災した日本橋魚河岸の市場機能を担うべく、昭和に入って築地へと移転してきました。東京一のブランドタウン・銀座からも至近である築地は、昨今は訪日外国人観光客も多く訪れる一大観光地にもなりました。 しかし、ここに来て移転計画が揺らいでいます。豊洲移転に疑問符をつけた小池百合子都知事は、リオデジャネイロ五輪から帰国したばかりの記者会見で移転先延ばしに含みを持たせた発言をしています。 移転まで3か月を切った直前でのドタバタ劇。どうして、ここにきて築地市場の移転が問題視されているのでしょうか?
床が魚の水槽の重さに耐えられない?
築地市場の豊洲への移転は、猪瀬直樹都知事時代から繰り返し議論されてきました。当時、豊洲市場の問題点として挙げられていたのは、主に土壌汚染でした。 しかし今、豊洲市場への移転で問題点として指摘されているのは、建物の構造的な欠陥です。築地市場の水産仲卸有志で組織する築地魚市場銀鱗会事務局長で『築地市場 クロニクル1603-2016』の著者・福地享子さんは、こう指摘します。 「とにかく、豊洲市場には構造的な問題が山積みです。例えば、水産仲卸業者が入る6街区の床積載荷重は1平方メートルあたり700キログラムが限度です。ところが、魚の入った水槽は約1トン、ほかにも築地市場で魚などを運搬するターレー1台の重量も1トンを超えます。これだけでも重量オーバーですが、運転する人や魚などの重量を考慮すれば、床が抜けてしまうことを危惧する業者がいても不思議ではありません」 それらの構造的欠陥の指摘に対して、東京都中央卸売市場管理部総務課は問題ないとした上で、こう反論します。 「卸売市場は荷を積み上げて一定期間保管する物流倉庫とは異なり、集荷した物品を短時間で流通させる施設です。こうした卸売市場の運用実態を踏まえ、豊洲市場は業務に支障がない強度を備えています。また、荷を満載したフォークリフトなど使用した場合でもタイヤの接地面にかかる集中的な荷重を床全体で支え、負担を分散できます。なので、問題はありません」