移転直前に浮上した「豊洲」欠陥問題 本当に大丈夫なのか?
間口が狭くてマグロが切れない?
豊構造的な欠陥が指摘されているのは、床積載荷重ではありません。ほかにも、複数の問題点が指摘されています。例えば、仲卸各店舗の間口は一コマ1.3メートルほどしかありません。間口が狭いと、大きなマグロを切り分けることができないのではないか? とも指摘されています。 「仲卸店舗の面積や仕様は、これまでに都と業界が幾度も協議を重ねてきて決めています。1店舗あたりの面積は、築地が平均7.2メートル。豊洲は8.25メートル。これまでより広くなりますし、ニーズに応えて店舗とは別に共同加工場を設けます。食品衛生関係法令に基づいて、店舗間に仕切りを設置することが義務付けられています。間口が狭くなることは、必要な措置なのです」(同) そうした個々のブースのみならず、豊洲市場には全体的に設計ミスなのでは? と思える部分が多々あります。 豊洲市場は主に青果棟・水産仲卸売場棟・水産卸売場棟の街区がありますが、これらは平屋建てではなく、5~6階建てになっています。そのため、水産物や青果を積んだターレーが上へ下へと移動しますが、その通路のカーブが急になっているため、ターレーがスムーズに曲がり切れずに渋滞を起こしてしまうのでは、との懸念についてはどうでしょうか? 「市場内のターレースロープに関しては曲がれないということはなく、事前に走行テストをするなどして必要な措置を行うように調整を図ります」(同)
なぜ水産仲卸関係者が特に強く反対するのか?
こうした問題点が多く指摘されている豊洲市場ですが、特に根強い反対をしているのが水産仲卸関係者です。豊洲市場の青果棟・水産仲卸売場棟・水産卸売場棟のうち、もっとも構造的な問題を抱えているのが、水産仲卸売場棟だからです。なぜ、水産仲卸売場棟は問題が噴出しているのでしょうか? 「豊洲の土壌汚染が深刻な問題になっていたとき、東京都は問題解決前から豊洲市場の設計に取りかかってしまったのです。築地市場は青果や水産卸売の関係者の数は多くないので意見がまとまりやすく、土壌汚染の問題時で揉めていたときも、東京都は青果棟や水産卸売棟についてヒアリングができていました。そのため、青果棟や水産卸売棟の構造的な問題点は部分的に改善できました。しかし、仲卸業者は、『土壌汚染が解決しないと、豊洲市場の話はできない』と、まず土壌汚染の解決を優先していました。期日までに移転することを急ぐあまり、東京都は水産仲卸業者との話し合いを疎かにしたまま豊洲の設計をしてしまったのです。そのことが、今般の豊洲の構造的な欠陥につながっていると思います」(福地さん)