「東京チカラめし」が2年ぶりに復活! 社長が語る急激な店舗拡大と大量閉店の背景「同グループの『金の蔵』の優秀な店長を『チカラめし』に集めてしまったばかりに…」
競合他社が真似できないやり方を採る
さらに、これはマーケティング的な意味だけでなく、他社との差別化という意味でも功を奏した。 「肉を焼くには、専用の設備が必要です。他の牛丼チェーンさんの場合、すでに牛肉を『煮る』設備が整っているため、マネしようとしてもなかなか難しく、追随できません。さらに、牛肉を一枚一枚焼くというオペレーションがかなり大変です」 通常、チェーンオペレーションでは「誰がやっても簡単に、同じようにできる」ことが前提となる。しかし、「チカラめし」の場合は、このチェーンオペレーションから離れた運営で、肉を一枚ずつ焼いた。他社にはマネできないやり方なのだ。 結果、その独自のオペレーションと商品によって、初期「チカラめし」の店舗では、その美味しさに感動する人が続出する自体に。 「やはり、『煮る』よりも『焼く』ほうがおいしくお肉をいただけるのではないでしょうか」 単なるネーミング勝負だけではなく、内実も伴った形で「チカラめし」は広がっていったのだ。
「金の蔵」マネーで実現した圧倒的な原材料調達力
さらに、「チカラめし」に人を集めたのが、(2)「『金の蔵』マネーで実現した圧倒的な低価格」だ。 当初、チカラメシは一杯280円で提供されていた。厨房でていねいに調理された肉が思う存分に食べられて、この価格は驚きだ。どのように実現したのか。 「始めた当初は、牛肉もお米も今よりは安かった。ただ、それだけでなく、当時は弊社の『金の蔵』の業績が好調で、十分なキャッシュがありました。それを使って、牛肉とお米の調達力を高めました」 「金の蔵」は、日本がリーマンショックのあおりを受けていた2009年に、「サラリーマンが気軽に立ち寄れる店に」を合言葉に、「全品270円均一」を掲げて爆発的な人気を生んだ居酒屋チェーンだ。そこで稼いだキャッシュが、「チカラめし」の原材料買い付けに生かされた。 「焼き牛丼」の商品力と、「金の蔵」マネーが可能にした低価格の2つが合わさり、「チカラめし」は、牛丼業界に大きなインパクトを与えることとなったのだ。