コーヒーノキ1万本が植わる鳥取県境港市の澤井珈琲の新拠点に脚光 県外から集客 クルーズ客船寄港しインバウンド需要も見込む
澤井珈琲では、実証実験として店舗内で栽培するところから始め、温室ハウスでの栽培に挑む。 澤井社長の妻で澤井珈琲ウエルネス社長を務める澤井由美子さんは「最初の年は、寒さだけでなく、暑さにも弱く、朝、夕に水やりをしても萎れて、弱り、そして、寒さで枯れた苗木たちも多かったが、残った苗木たちは年ごとに寒冷地仕様で育ち、なじんで元気に育った。この寒さに強い、コーヒーノキの実を、自社で開発した独自の土に埋めて、子どもをどんどん増やしていき、現在約3万本の珈琲の木や苗木が育っている」と振り返る。 澤井珈琲では、最初は寒冷地では珈琲の実は付かないだろうとの見立てのもと、コーヒーの葉でコーヒーの健康成分を引き出した「トリゴネコーヒー茶」を目的に栽培していたが、5年後以降には、少しずつでも実を付けるようになったことから栽培の方向性を軌道修正。 「お茶だけではなく、この北緯35度の境港でも、国産珈琲の栽培も可能ではと希望が見え、現在、コーヒー栽培では収量アップと品質向上に向けて、水やりの頻度や自社開発した肥料などを手探りで実験している。この中には、ゲイシャ品種もあり、ジャパニーズ・ゲイシャとして売り出していく構想もある」と力を込める。
今年はここで、5キロのコーヒーチェリー(生豆換算3キロ)を収穫。「少しでも多くの方に味わっていただきたい」との想いのもと他の産地の豆とブレンドにしてラボショップで販売したところ好評を博し1か月足らずで完売した。 「皆さまから“美味しい”と言っていただけた。来春には50キロの収穫を見込む」と述べる。 新設された2棟の温室ハウスで育つコーヒーノキの一端は、ラボショップのテラス席から眺められるようになっている。 コーヒーの研究棟では「珈琲の可能性は無限大」をテーマに掲げ商品開発に加えて、機能価値と情緒価値の両面からコーヒーの新たな可能性を探索。近く新商品の投入を予定しているという。