アドラー『嫌われる勇気』で生じた2つの「誤解」 「トラウマは存在しない」説と「課題の分離」
「夕飯までには片付ける」「ボックスに入れるだけにすれば片付けやすいのでやれる」などと、やり方や期限についてお互い落ち着いて相談し合うのです。 つまり「課題の分離」は、「いったんもつれてしまった人間関係の糸をほぐすためのもの」です。その先には、必ず協力関係を置いているのです。 「課題の分離」は、いわば「共同の課題」の「前段階」のステップなのです。 ■上司・部下の人間関係でもよくある話 「注意したのにいうことを聞かない」とか、「ちゃんと教えたのに何も変わらない」と怒る親は少なくありません。
こういう「私が○○○したのに、相手は変わらない」という悩みは、親子でも上司部下でも、友人でも、パートナーでもよくある話です。人間関係をこじらせてしまう原因になりがちです。 こうした悩みに、「私の課題」と「相手の課題」を切り分け(課題の分離)、そのあとに、お互いどうしたらいいかを落ち着いて話し合うのが「共同の課題」なのです。 「課題の分離」の一面だけが取り上げられ評価されてしまった感がありますが、本来は、「協力のための手続きの1つ」なのです。
岩井 俊憲 :ヒューマン・ギルド代表