ローラやクリスタル ケイにも取材…ハーフモデル・エリーローズが考えた「違い」の受け入れ方
エリー ローズさんは、日本人の父(写真家)とイギリス人の母(スタイリスト)のあいだに生まれ、モデルやDJとして幅広く活躍しています。洗練されていながらも肩に力が入っていない生活が人気で、Instagramのフォロワーは現在54.3万人(2024年6月時点)。国内外に友だちが多く、多様な視点でのSNS投稿が支持されています。 【写真】モデル・エリーローズが中学生時代、イギリスの女子寄宿学校で学んだ性教育 エリーさんが日々の生活で感じたことや、さまざまな気づきを綴るFRaUweb連載。 今回は、ハーフであるエリーさんに、「周りと違う」ことで葛藤や困難にぶつかった過去を振り返っていただきました。
「違い」を受け入れられる社会になってほしい
皆さん、こんにちは。 あっという間に6月も半ばですね。私はイギリスに里帰りをし、親族(いとこ)の結婚式のため、シチリアのパレルモに滞在していました。実はイギリスの家族と初めての海外旅行でもあり、普段はイギリスでしか時間を過ごさない家族とのイタリアへの貴重な旅はとても新鮮でした。 結婚式は16世紀にレケセン家(皇帝カール5世の後にシチリアに到着)によって建てられたLa Bella Palermo Palazzoという名の宮殿で行われました。今はプライベートな住居兼ミュージアムとなっていて、映画のワンシーンに出てくるようなセッティングでの結婚式は涙ものでした。 シチリアからマルタへと巡り、さらにマルタで4年ぶりに大親友と感動の再会。もう真夏の気候であるマルタでは、海でのんびりしながら親友とキャッチアップしたり、地中海料理とワインをここぞとばかりに堪能しました。帰国してまだ数日ですが、愛に溢れた旅だったなと余韻に浸たっております。 さて、今回の記事は「ハーフ」について書こうと思います。ハーフに生まれてきて良かったこともたくさんありますが、ハーフであるからこそ苦しい経験もしてきました。 現在はハーフという言い方ではなく「ダブル」や「ミックス」と呼ばれる場合もあります。ですが私自身はハーフという言葉そのものが差別だとは思っていませんし、ハーフと表現されることが多いので、今回の記事ではハーフという呼び方で進めていきたいと思います。 テレビや雑誌などで見かけるハーフモデルやタレントもたくさんいますし、あるいは学校や職場にハーフの友人や知り合いがいる、という人も少なくないかもしれません。当然ですが、一口にハーフと言っても様々なルーツを持つ人たちがいます。 ハーフだから、というだけでなく、日本人であっても「周りと違う」ということで悲しい思いをしている人たちもいらっしゃると思います。今回は、私が「周りと自分の違い」をどう受け入れてきたか……私自身の体験と、私が出会った4人のハーフの友人たちの言葉やエピソードを交えながら考えていきたいと思います。 私は日本で生まれ、日本の公立学校とイギリスの寄宿学校で育ちました。小さい頃から容姿の違いを他人とよく比べられ、学校に馴染むことができなかった時期がありました。日本の学校に通っている間は、クラスメイトから「外人」「エイリアン」などと呼ばれたり、イギリス人の母親が授業参観に来るとからかわれたり……。高校受験では、生まれ持った髪の毛の色が黒髪でないからと黒染めを強要されたこともあって、ハーフでいることが、すごくコンプレックスでした。 私たちは「ハーフ」という属性を持つことで、さまざまな葛藤や困難にぶつかることがあります。見た目が違うだけでじろじろと見られてしまったり、日本生まれ・日本育ちで日本人だと伝えても外国人扱いされるなど、一般的な日本人とは異なる外見を持つことを理由に、違和感や孤立感を覚えることもありました。「日本語うまいね」と言われたり「どこの国の人?」「外国人登録書はありますか?」と聞かれたりするのも日常のこと。 食べ物によって日本人っぽい外国人っぽいと判断されるケースもあります。パスタやチーズを食べていると「やっぱり外人」だねと言われるし、お味噌汁や納豆を食べていると「やっぱり日本人だね」と言われる。だけど、日本人が「ハンバーガーが好き!」と言っても「外人みたいだね」と言われないのはなぜ? SNSなどで和食のご飯を作った写真をシェアしたときに“和食も作るんですね”というコメントが多いのは、私の外見を見た上での意外性からくるものだと思います。だからこそ、発信する内容や人との関わり方は、結構、緊張感があるんです。 「違う」ことを理由に否定された経験を持つ人は、ハーフに限らず、多くいると思います。例えば、生まれつき髪の毛が茶色っぽかったりクセ毛だったりする子が、学校の校則で黒く染めることやストレートヘアにすることを強要されるなどのニュースを目にしたこともあります。 「違い」ゆえにいじめや差別に直面し、自己肯定感やアイデンティティに影響を及ぼすケースもあります。日本では「周りと同じであること=良いこと」だとされがちですが、それぞれの個性を尊重し、自分と同じでないこと、つまり、違いがあることは悪いことではないという考えに変わっていってほしいです。 「周りと違う」ことを理由に否定される経験が積み重なると、自身のルーツやアイデンティティを受け入れることが難しくなることもあります。「ハーフ」に限らず、さまざまな理由で「周りと違う」ために困難に直面して苦しんでいる人がいるという現実を認識し、理解することが大切だと思います。理解のなさが当事者を傷つけたり、生きづらさにつながってしまうことがある、ということを知って欲しいなと思います。