「えっ・・・部員3人?」廃部寸前の吹奏楽部が見事復活!全国大会出場へ「より音楽的で尖った演奏をしよう!」広島桜が丘高校・吹奏楽部物語
金山純也教諭 「人間は困難に陥ったとき真っ先にできない理由を探してしまいます。そうじゃなくて、できる方法を模索しようよ、と。廃部寸前の吹奏楽部を盛り上げることはたしかに困難なミッションでした。しかし、私は『やればできる』と自分にも言い聞かせ、覚悟を決めました」 そして、生徒たちの成長スピードは、金山教諭自身の想像をも超えていくことになる。 指導2年目の2022年、初心者からスタートした1年生たちは2年生に。新入部員を合わせた10人で広島県吹奏楽コンクール・高校小編成の部に出場。そこで金賞を獲得し、勢いに乗る。日本管楽合奏コンテスト予選審査会で優秀賞、広島県アンサンブルコンテストでは打楽器七重奏とサクソフォン三重奏の2チームが、金賞をダブル受賞した。 ■3年目の奇跡「高校生の可能性は無限」 「あの」1年生たちが、最終学年を迎えた2023年。5月には、新型コロナウイルスが5類に移行、高校生の部活動は平常を取り戻した。桜が丘高校の音楽室も、熱気を増す。わずか2年前には、たった3人と廃部寸前に追い込まれた吹奏楽部が、すっかり活気を取り戻していた。集大成と位置づけて臨んだ広島県吹奏楽コンクール・高校小編成の部で2年連続の金賞を獲得。広島県代表に選ばれ、創部初となる中国大会出場を果たした。勢いそのままに、中国大会でも金賞の快挙を成し遂げる。 快進撃は止まらない。学校名を伏せた形で録音審査される日本管楽合奏コンテスト予選審査会では、全国大会への出場権が得られる最優秀賞を受賞。全国の有力校が揃う東京の会場、文京シビックホールで初めて音色を響かせた。 金山純也教諭 「実は、最後のコンクールに出場できなかったあのときのメンバーは、大学進学後も、コンクールの補助員や定期演奏会のスタッフとして手伝ってくれて、吹奏楽部を今でも応援してくれています。後輩たちの活躍を自分のことのように喜んでくれています」 青春をあきらめなかった3人がつないだ吹奏楽部の歴史。「やればできる」の精神で歩んできた金山教諭と部員たちの努力が、ひとつひとつ、実を結んでいった。