【かけこみ解説】米大統領選挙「もしハリ・もしトラでアメリカと世界はどう変わる?」 政策の注目点を一から解説
■人工妊娠中絶 ―規制強化か、権利の擁護か―
人工妊娠中絶も、今回の大統領選では大きな争点となっている。アメリカでは、2022年に人工妊娠中絶を憲法上の権利として認めた最高裁判決が覆された。その後、中絶の全面禁止などの厳格な規制が、保守的な州で相次いで設けられた。これに対して、女性が自分自身の身体について、自分で決断する権利を求める運動も活発化。ハリス氏は、中絶の権利を保障する連邦法が議会で通れば、署名することを公約として掲げる。 一方、中絶に反対するキリスト教保守派から支持を受ける共和党は、中絶に対する規制を強めてきた。しかし、激戦州でも中絶の権利を求める有権者が多いことから、争点化を避けるため、トランプ氏は反対のトーンを弱めている。
■移民 ―不法移民にどう対処?―
ハリス氏は、バイデン政権で国境管理を担当してきたが、当初、寛容な姿勢を打ち出してきたことによって、多くの不法移民が南部の国境から流入し、深刻な社会問題となっている。トランプ氏による激しい批判を受け、選挙戦では、不法移民への取り締まりの厳格化を強調している。 一方のトランプ氏は、ハリス氏の国境管理により「多くの犯罪者が入国した」などと主張し、現政権を批判している。さらに、当選すれば「史上最大の強制送還作戦」を行うと宣言している。