【バスケ日本代表】「河村選手が八村塁に…」富樫勇樹主将が語る韓国戦の一番の収穫とは “12人以外の気持ち”も背負いパリへ
「塁がまわりの4人を信頼しないと勝てない」
戦術面もさることながら、連係を深めていくためにもう一つ重要になるのが、お互いの信頼関係である。 八村は6月末に合流したが、3年前の東京五輪で共闘した富樫、渡邊、馬場雄大、比江島、渡邉飛勇を除けば、初対面の選手は多い。河村や富永ら主力を張るメンバーとコミュニケーションを深めていくことは、本番に向けて優先順位が高い部分だろう。 富樫にキャプテンとしてどう立ち振る舞うかを聞くと、「あのー」とひと思案した上で、「塁の場合は、雄太とはまた違う難しさがある」と言及。さらに言葉をつないだ。 「会ったこともない選手が半分以上で、彼らは1週間前に会ったばかりなので、そこからどう信頼を得て、コミュニケーションを取ってやっていくかは簡単なことではないです。やっぱり塁がまわりの4人を信頼しいないと、(パリ五輪の)あのレベルのチームに勝利していくことはないと思います。これから3週間、そういうところも含めていいチームを作っていきたいなと思います」 信頼関係を構築する手段は、何も言葉だけではない。韓国との強化試合は、その一つのきっかけになったと見る。八村がベンチで見守る中、河村が2試合平均で20.0点、7.5アシストという圧巻の活躍を見せたことが理由だ。 「この2試合の河村選手のプレーを見て、塁も彼に対して信頼というか、『この選手ならボールを預けていい』と思えていると思います。河村と富永は塁と一緒にプレーしたことがないのですが、NBAレベルではお互いの信頼がすごく大事になってくるので、そこが一番の収穫なのかなと思います」
「12人以外の気持ち」も背負い、決戦の地へ
近くパリへと旅立つホーバスジャパン。選ばれた12人は本番前から寝食を共にし、濃密な時間を過ごすことになる。 富樫はその中で、メンバー同士が歩み寄っていく過程をイメージしているようだ。 「海外に行き、よりチームとしての行動になると思うので、短い期間で信頼関係をつくりたいと思います。若手も遠慮しないことが一番。塁もちょっとだけ大人になって帰ってきた気がするので、自分からうまくやってくれるんじゃないかなと期待しています」 NBAを主戦場としてきた八村、渡邊という二大巨頭と、河村、富永という若手2トップは今後どのようなシナジーを生み出すのか。最年少20歳のジェイコブス晶は、実績のある先輩たちに囲まれてさらなる成長を遂げることができるのか。比江島や富樫らベテラン陣は、頼もしい後輩たちに負けない存在感を発揮することができるのか。 あれこれ想像するだけでも、今から楽しみな要素は多い。 3年前の東京五輪は、自国開催ながら3戦全敗という屈辱を味わった日本代表。パリ五輪の目標は過去最高のベスト8入りを掲げる。高みを目指すチームをけん引する富樫は、力強い言葉で囲み取材を締め括った。 「16人全員(取材時は最終メンバー未発表)の気持ちは練習中からすごく伝わっていました。この16人だけではなく、ヘッドコーチがトムさんになってから、そしてトムさんになる前からもいろんな人たちがこの代表に関わってきて、今がある。そういう気持ちも背負い、フランスに行ってしっかり結果を残したいです」 出場12カ国中、日本のFIBAランキングは下から2番目。番狂せを演じて新たな歴史の扉をこじ開けるべく、日の丸を背負った12人のつわものが決戦の地へ乗り込む。
長嶺 真輝