東京佼成ウインドオーケストラ常任指揮者に就任 大井剛史、コロナ禍を経て「1回1回のコンサートを丁寧におこなうことを強く意識するようになりました」
◆指揮者の役割を示してくれた松尾葉子氏の指導
番組では、大井さんに指揮者を志したきっかけを伺いました。 小学生の頃からピアノのレッスンに通っていた大井さんは、中学生で吹奏楽に入部し、演奏の世界にのめり込むようになったそうです。 吹奏楽で打楽器を担当していた大井さんは、指揮にも興味を持ち、経験を重ねるうちに指揮者に憧れを抱くようになったそうです。「音楽を奏でる人生を歩みたいと思うようになりました」と振り返ります。 その後、大井さんは17歳より指揮法を松尾葉子さんから学び、その後もさまざまな指揮者から指導を受けます。大井さんから、松尾さんからの指導で印象に残ったエピソードを聞きました。 やりたい音楽を引き出すのが指揮者の大切な役割だと伝える松尾さんは、まずは大井さんに“ピアノの音を上げる指揮”を指導したそうです。 大井さんは当時を振り返り、「(松尾さんから)『私のピアノを、あなたの指揮でクレッシェンド、だんだん音を大きくさせてみなさい』と言われたんです。音を大きくするために身振り手振りで示すのですが、そういうことができないとダメだよと言われたのが、最初のレッスンでした」と明かします。“指揮者の思い”を演奏者に伝えることが、指揮の根幹だと伝えたかったのではないかと話しました。
◆課題曲コンクールの魅力は「仲間たちとの共感」
そんな大井さんは、全日本吹奏楽コンクールの「課題曲コンサート」で毎年指揮を担当しています。課題曲コンサートとは、全日本吹奏楽コンクール出場を目指す中高生に向け、新旧の課題曲を東京佼成ウインドオーケストラが演奏するもの。現役の学生や多くの吹奏楽ファンが全国から駆け付けます。 プログラムの構想を何年も前から練る大井さんに、課題曲コンクールの魅力を伺いました。 大井さんは、学生時代に打ち込んだ演奏の記憶が色濃く蘇るような課題曲は、1曲が短くて、学生にとって親しみやすさを感じるものではないかと分析。「全部の課題曲がわかりやすいわけではないのですが、みんなで同じ曲を演奏している“共有感”が(課題曲コンクールの)魅力なのかなと思います」と語りました。 大井さんの発言に、パーソナリティの長野は「違う学校に通っていても、課題曲のことなら話が合いますよね。課題曲を通して、音楽で人間関係ができていくことがあります」とうなずきます。大井さんも「大人になって『中学1年生のときの課題曲は何だった?』と聞くと、年齢がバレますよね」と笑顔で話していました。