元セロー乗りがカワサキ「KLX230シェルパ」に乗ってみた! KLX230Sも同時に試乗レビュー
KLX230シェルパは、KLX230Sをベースに専用デザインの外装が与えられ、ハンドガードやアルミ製スキッドプレート、スタックパイプなどが追加されたもの。各種装備でトレッキングムードを高めるとともに、実際に獣道に分け入っていけそうな装備が心強さと安心感を与えてくれる。 さて、前述のスーパーシェルパが登場したのは1997年頃で、その時代にトレッキングマシンの代表格として愛されていたのは、ヤマハ「セロー225」だ。のちに「セロー250」にフルモデルチェンジしたが、扱いやすい車格と低速域を強化したエンジン特性などが街乗りライダーにも支持され、販売台数ランキングではトップセラーにこそならないものの常に上位を走り続けてきた。 何を隠そう筆者も1993年型セロー225と2005年型セロー250を長らく所有していた経験があり(2016年に職場の後輩にあげた)、オフロード界のスーパーカブとも言えるキャラクターのセローはいつかまた買おうと思っていたほどだ。ちなみに家族のぶんも合わせるとセローは合計4台入手している。 そんなセロー250は2020年に最後の1台が出荷され、生産終了。多くのセローファンとともにいつかの復活を願っていたのだが、先に復活したのはカワサキのシェルパだった。 カワサキの開発者は「セロー250を意識しなかったわけではないが熱心に研究するほどライバル視していたわけではない」といった感じのことを言っていたが、ユーザー目線からすれば『セローの代わりになるのか』はひとつの大命題と言えるだろう。 もちろん、公道市販トレールバイクとしてどうなのかという点が先ではあるが、上記の視点も交えてのインプレッションになることをご了承いただきたい。
懐深く、適度にゆったりしたフィーリングがいい!
最初に試乗することになったKLX230シェルパを目の前にすると、かなりコンパクトなトレールバイクという印象。ホイールベース1365mmはセロー250の1360mmに近く、シート高が取っつきやすいだけでなく全体にコンパクトだ。 従来型のKLX230シリーズは、無印KLX230・2020年モデルの初登場時に試乗したのみ。その後モデルチェンジを受けることなく2022年モデルとして低車高バージョンのKLX230Sが登場したが、そちらには試乗する機会がなかった。なので無印KLX230との比較になってしまうが、車高以外の部分ではおおむね同じ造りなのでご容赦願いたい。 KLX230シェルパに跨ると、まず印象的なのはシートの造りだ。先代はシートがかなり薄く硬質で、よく言えば競技志向を感じさせたが、公道で普通に使用するには乗り心地がなかなかスパルタンだった。KLX230シェルパのシートはかなり厚みが増していて、体重81kgの筆者も余裕で受け止める。 また、前後ともサスペンションストローク(ホイールトラベル)が先代のKLX230S比でかなり増していて、跨って体重を載せるとけっこう沈み込むので、シート高の数値以上に地面が近く感じられる。前後に揺すってみるとダンピングも豊かな感じで、良好な乗り心地と安定性を予感させた。 ──KLX230シェルパのライディングポジション。身体が大きめの筆者でも窮屈さはさほどなく、一般的なトレールバイクの感じだ。足着き性には数値以上に余裕があるように感じられた。【身長183cm/体重81kg】 ──KLX230Sも基本的には同じ感じだ。ハンドル形状が微妙に異なり、グリップ位置はシェルパよりもやや低い。少しの違いだが、よりアグレッシブなフォームが取りやすそうだ。【身長183cm/体重81kg】